扉が開き、誰かが入ってくる。本来の俺の身長ならば、大抵の人間は俺と同じか低いから容易に誰なのかを判断できる。しかし、幼児の身長になってしまった今、見上げなければ判断できなかった。

(誰だ…?)

「師匠、用件はなんでしょう?」

最悪だ。
部屋へと入ってきたのは、今一番会いたくない、春野サクラ。どうやら俺が見えていないようで、五代目の元へ一直線。

「師匠、用件は…」
「あんたの足元だよ」
「え?」

サクラと、ゆっくり目が合う。俺は目を合わせたくなくて、ゆっくり逸らす。くそっ、顔が熱くなってきやがった。

「か、」
「か?」
「可愛すぎる…!」

サクラの目が輝いた、まずいと思ったときにはすでに抱きつかれていた。サスケくん?ほんとにほんとにサスケくんなの?と騒いでは頭を撫でられ頬擦りされ、抱きつかれる繰り返し。その行動がウザったいような可愛いような。しかし今はそんなことを冷静に考えている場合ではない。

「サ、サクラ」
「あ、ごめん。なぁに?」
「む、胸が…顔に当たってるんだが…」
「ご、ごめんなさい!」

なんとも言えない感触から解放されると、サクラの顔も真っ赤になっていた。

「さて、サクラ。用件だがね」
「は、はい!」
「そのチビ助が元に戻るまで面倒を見とけ。以上」

五代目はそれだけ言うと、俺たちを部屋から追い出した。追い出された俺たちは、互いを見た。暫し見つめ合ったあと、サクラはしゃがんで俺と目線を合わせる。

「…何だよ」
「ほんとに可愛いなぁって」
「うるせ!」
「ふふーんだ、今のサスケくんが何言っても怖くないもーん」
「…あとで覚えてろよ」

サクラは悪戯にそう笑うと、再び俺を抱き上げた。俺としてはこれは屈辱なのでもがいてみたが、もがけばもがくほど背中に柔らかい感触を感じるので、無駄な抵抗は止めにした。


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