太陽に向かって手を伸ばした。手のひらの隙間から光がこぼれて、なんだか眩しかった。冬にしては暖かい今日、私は縁側で日向ぼっこをしていた。そういえば、朝の天気予報で四月上旬並みの暖かさだと言っていたっけ。なんて思いながら。

「サクラ」

私にそう声を掛けた彼は、手にタオルケットを持っていた。風邪引くぞ、と手渡されたので、心配してくれていたらしい。お礼を言ってそれを受け取ると、彼も隣に腰かける。
幼い頃から彼のことを知っているが、その時の幼さは今はなく、同じくらいだった身長は当の昔に追い抜かされた。

「何してた?」
「ん?えっとね、日向ぼっこ」
「ふぅん」

興味なさそうに言いながらも、私の隣から離れることはなかった。彼の左手でキラリと光る指輪は、私の左手にも同じようにしてあった。

「やっぱり暖かい方が好きだなー」
「寒いのが好きなやついんのか?」
「さぁ?」

他愛のない時間がゆっくり過ぎていくのを体感しながら、私は、そっと彼の手に私の手を添えた。彼は一瞬驚いたような顔で私を見たけれど、柔らかく笑うと私との距離を縮めて肩をくっつけた。

「甘えん坊ー」
「どっちが」

私がくすくす笑うと、こつん、とおでこを小突かれた。大して痛くはなかったが、少し大げさに痛いと主張すると馬鹿と言われてしまった。

「そろそろ中入るぞ。暖かいと言えど、冷えるだろ」
「はーい」

珍しく差し出された手に素直に掴まり、そのまま部屋の中へ。指を絡めても何も言われないのを良いことに、私は握る力をほんの少し強めた。


    
(お昼何食べるー?)
(何でも)
(じゃあ久しぶりに一緒に作ろう!)




201000215



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