今日は青空が広がり光輝く太陽とと真白な雲の良い天気

昨日降っていた雨は水溜りという片鱗を残して綺麗に過ぎ去っていた

今日も良い日になりそうだ

そして…


「恭弥ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「うるさい」


―――あぁ今日もまた、始まった






=== 副委員長の特権 ===






ことの始まりは数週間ほど前にさかのぼる

いつものように風紀委員の仕事をこなしていた委員長

俺はいつものように警備に当たっていた

そこへやってきた委員長の幼馴染である笹川了平

委員長にようがあるらしく俺は扉を開いて入れても良いか確認をとる

いつもより神妙な面持ちの笹川に委員長は首を傾げ家おられた

何事かと顔を顰めて話を聞く委員長

しかしそれはとても想像もつかないような言葉だった


『俺は恭弥に恋しているようだ!!』

『…は?』


あまりにも突発であまりにも衝撃的で一瞬言葉を失ったのを今でも覚えている

扉越しにも解る委員長の驚きように俺も思わず瞠目した


『寝言は寝て言いなよ』

『寝言などではない!俺は本気で恭弥のことが好きだ』

『それが寝言だって言ってるんだよ…自分仮名に言ってるのかわかってるの』

『極限任せろ!解っているに決まっている!』

『解ってない、第一僕は男だ』

『そんなもの関係ない!』

『十分関係あると思うんだけど』


今にもトンファーを取り出しそうな委員長の声に俺ははらはらしていた

応接室が血の海に染まるのはいただけない


『俺は恭弥のこと考えると夜も眠れないのだ!』

『馬鹿?』

『俺と付き合ってくれ!』

『嫌だ』

『どうしてもか…』


笹川の声が少し沈んだのがわかる

おそらくこれで諦めるだろうと思っていた俺はいつの間にか入っていた肩の力をぬいた

しかしそれは次の委員長の言葉によって打ち砕かれる


『じゃぁ条件をつけようか、僕に勝てたら付き合ってあげる』

『本当か!』


思わずその場から動けなくなった

しかし、委員長らしいといえば委員長らしい

これは俺の推測でしかないが委員長もまた笹川のことが好きなのだろう

それを認めたくなくて自分に勝てたら、といったのだろう

委員長は素直ではない

それからというもの毎日のように繰り返される攻防

仕事中の委員長の下をたずねては繰り返し繰り返し返り討ちにされていく笹川が不憫に思えた

委員長も人が悪い

あぁ今日もまた始まった

それが冒頭の二人の会話だ
















「毎日毎日懲りずによくくるね」

「うむ、今日こそ負けん!」

「無理だと思うけど」


しかし、今日で決着がつくであろうことを俺は知っていた

委員長はここ数日の異常気象の温度の変化と仕事の忙しさの所為で寝不足の日が続いていて体調不良を起こしていた

それでも毎日やってくる笹川を相手にして白星をふやして言っているが

今日あたりが限界だろう


「?」


しかし何故かいつものような音が聞こえてこない

その代わりに笹川の声


「恭弥、体調でも悪いのか?」

「―――…っ」


笹川の思いがけない科白に委員長が息を飲んだのがわかる

俺も笹川が気付くとは思っても居なかった


「体調不良の奴相手に戦うことはできん!」

「何言ってるの…僕は全然…」

「嘘を言えっ恭弥は昔からそうではないか」

「……、」

「今日は一時休戦だ、風邪が治ったらまたやるぞ!」


その科白に俺はこれでもうここで攻防戦が行われないことを理解した


「まったく…君ってやつは…」

「む?」

「負けたよ、いいよ僕の負けで」

「なにを言っているのだ」

「僕の負けだって言ってるの、いいよ付き合ってあげる」

「―――…っ」


委員長の雰囲気が変わったのがわかる

きっと今微笑んでおられるのだろう

扉を少し開けば見れるのだろうが、俺はそれをしない

委員長の笑みなど見たことないので見てみたくないわけではない

だがこれは笹川だけに見せる笑顔なのだろうから俺が見ることは憚れる


「本当か?」

「うん」

「男に二言は無いな?!」

「ないよ」


本当に嬉しそうな笹川の声

それに相槌をうつ委員長もどこか嬉しげだ

これからは違う意味で応接室が賑やかになるだろうと思った

だがこれは中にいる二人と俺しか知らないのだろう

それを思うと、自分なんかが知ってしまったという罪悪感と

他のものは知らない委員長の一面を知っているという優越感があいまって複雑な心境だ

しかしこれはこれで良いのかもしれない

委員長も笹川も、俺がここに居ることを知っているのだから俺が知っていてもいいと考えているのかも知れない

それはそれで信頼されているのかと思うと風紀副委員長として、二人を見守るものとしてとても嬉しい


今日は青空が広がり光輝く太陽とと真白な雲の良い天気

夕焼けが紅く紅くもえている

明日もまた良い天気になることだろう



fin.





  あとがけ

 草壁視点でお送りしました
 すみません、管理人結構草壁好きです;;
 こんな感じで草壁は雲雀さんの恋路を見守っていると良い、とか思いました
 また草壁視点で誰か×雲雀さんが書きたいです(っていうかすでに書いてる
 
 ここまで読んでいただきまして本当にありがとうございます!!