「どうしていつも…そんなに笑っているんですか」

「え……?」


部屋に帰るといつもいるのが当たり前になっている六道骸が開口一番そんなことを言ってきた









=== 哀 ===








「僕が笑ってるって?」

「そうです。恭弥くんはいつも笑ってます」

「僕の表情が笑って見えるなら一度眼科に行くことをお勧めするよ」


容赦なく切り捨てて恭弥は着ていたスーツをハンガーにかける

ネクタイを緩めながら息を吐く

一度もこちらを見ようとしない恭弥に半ば苛立ったように肩を怒らす

肩を掴んでこちらを向かせると、驚いた表情をしている恭弥の唇になんの前触れもなく口付けた


「っふ、…ん」


噛み付くようにキスをして、飲みきれない唾液が口の端からこぼれ出て顎を伝う

それを舐めとると骸は恭弥の頬を包むように手を添えた


「恭弥くんは、いつも僕以外の人間の前では笑っているんですよ」

「なに、を…っ」

「僕の前では笑ってくれないのに…どうして…あの、沢田綱吉の前では…笑っているんですか…っ」


なんとも醜い、嫉妬心

恋人である自分よりも、ボスであり、守るべき絶対の存在である沢田綱吉の前では笑うのだ

それがとても、哀しくて……寂しい


「――っ骸!!」


どんっと床に押し倒されて、息が詰まった

俯いていて表情の見えない骸に少なからず恐怖を覚える

しかし…


「ねぇ恭弥…?」


名前を呼ばれて…思わず、息を、呑んだ


「僕を見て…僕だけを見つめて…僕だけを、愛して―――…」


悲痛なまでの想いが交錯する

あぁどうして君には伝わらないのだろう

どうしたら君に伝えられるのだろう

不器用な自分にはどうすればいいのかわからない

それがとてももどかしくて…哀しい


 





「…骸」

「――…、」


不意に、骸の首に腕をまわしてきた恭弥

少しだけ驚いた表情をした骸は…それを、見た


「どうしたら、君に…伝わるの」

「きょう…や?」

「こんなにも僕は、君を、愛…してるのに…どうして君には伝わらないのかな…?」


泣きそうな表情で微笑む恭弥は、とても…綺麗で…

思わず、息を呑んだ

今まで見たことのある笑顔とは比べ物にならないほど…


「恭弥…僕、は……」

「僕は、こういうことに…慣れてないから、どうしたら君に気持ちが伝わるのかわからない、し…」


恥ずかしそうに頬を染めて言う

なんだかそれが可愛くて


「す、好きって言ってくれるの…すごく、嬉しいのに…恥ずかしくて、空回りしたりして…君を傷つけるし」


その後は言葉にならなかった

言葉はすべて、骸の口の中へ溶けていく


「―――すみません、僕は…恋人失格、ですね」


ぎゅうっと床に肘を突き、恭弥の頭を抱きかかえる

心なしかその腕が震えているように思う

恭弥は骸の首に抱きつく


「ホントだよ。僕がこんなにひとりの人間を想ってるのに…」

「…すみません」

「ハァ…いいよ、これからちゃんと…わかってくれれば……、」


恋人失格なんていったのにこれからも、と返される

一緒にいていいのだと、恋人でいていいのだと、恭弥が肯定してくれた

その優しさが嬉しくて、笑えた


「ところで、」

「はい?」

「いつになったら退いてくれるの」


いつまでも上に乗っかられたままの恭弥は腕の力を緩めて骸の顔を覗き込む

骸も恭弥の顔を見た


「……ここまま、ここで、じゃ…ダメですか?」


このままこの先も、ということだろう

恭弥は呆れたように息をついて右手でその額を指打する


「あ痛」

「このままこんなところでなんてしたら、体中痛くなる...」

「…おや?」


続きはさせてくれないな、と身体を退かそうとした骸はその一言に虚をつかれた

顔を背けている恭弥が耳まで赤くなっているのが見受けられて思わず笑む


「では、ベッドにお連れしましょう」

「優しくしなよ」

「仰せのままに」


恭しく頭を垂れて恭弥の身体を抱き寄せる

横抱きにしても反抗もせず、ましてや文句も言ってこない

このままでは自分の理性が持つかどうか


「骸?」

「すみません恭弥…手加減できそうにないです」

「……変態」


そう呟いて骸の頬に口付ける

さぁ、夜の幕開けだ





 





→なかがき←
すみませ…っ!!!
なんか授業中に書き出したものです
多分、5年後とかだといいな…っ
基本、授業中はノートの下にルーズリーフな管理人ですが…
なにを書くかとか決めないで“「”から書き出す人間です
んで適当に書いた台詞からヒバツナにするか骸ヒバにするかが決まります
いつもこんな感じなのでこんなぬるいもので失礼しました;;;
このあとにR指定なつづきとかおいちゃったりしてすみません
読みたい人だけどうぞ、ぞ、ぞ…orz



⇒⇒⇒R指定⇒⇒⇒

 










「…っふ、ぁ…あぁ…っ」


暗い部屋の中に恭弥の甘い声が木霊する

それと連動するように衣擦れの音と水音と、荒い息遣い


「ッハ、恭弥…っ」

「ぁん…んん…っくろ、も…っダメ」

「――…っ、」


ドクンとお互いの熱が放たれる

下腹部に熱いモノが広がっていく感覚にぶるりと背筋を振るわせる

恭弥の中に出してしまったことに少し焦って、顔をのぞく


「だ、大丈夫ですか?」

「――、ん…大丈夫だから……もっと」


そういって骸の首に絡み付くように腕を伸ばす

ちょっとそれ反則ですよ、と慌てながら骸は恭弥を抱えなおす

繋がったままのソコは先ほど熱を吐き出したばかりだというのにすでに硬くなりはじめている


「ハ、ぁ…ちょ、…と…骸早…ぃ、っん」

「恭弥があまり可愛いこというからです」


逸る気持ちをなんとか抑えながらゆっくりと腰を動かす

それでも快楽に溺れきった恭弥は微々たる刺激にも反応する


「むく、ろ…っ、もっとぉ…」


――…え、誰ですかこの人…本当にあの恭弥ですか?


求めてくることはあれどこんなに積極的に口にして言ってくることはない

緩んだ恭弥の表情が欲情をそそった

優しくするって言ったのに…


  







「―――っ、我慢できません」

「ふ?―…っんぁ…あ、ぁ!!」


一気に奥まで突いてやると嬌声をあげる

何度も何度も良い所に突き立ててやると背中に回された恭弥の手がギギっと爪を立てる

ちりっとした痛みに耐えながら、それすらも気にならないくらいもっと、もっと深く

自分が何をしているかわからないほどに快楽を求める


「ふ…ぁん…っぅあ…ああっ、」

「きょ、や…っ恭弥…、っ」

「、ゃ…ん…っんん、も、出る…っやぁ、ふ...ん」


嬌声を発する口をふさいで、深く深く口付ける

口腔の中を余ることなくかき乱して、右手で弄っていた恭弥のモノをきゅっと握ってやる


「んん…っぁ」

「恭弥、っ」

「あ、む…くろ…、いっしょに…イ、こ…?」

「――っ、恭弥…っ」


生理的に流れた涙で潤んだ瞳のままで微笑まれる

とうに理性などかなぐり捨てていた骸はそれに答えるようにより一層激しく腰を動かした


「あぁぁ…っんぁ」

「恭弥…恭、弥…っ」

「んん…っむ…く…ぁあああっ」


甲高く嬌声をあげるとドクンと脈打つように熱を吐き出した

続くようにして骸も恭弥の中にすべて吐き出す

本日二度目の中出しに恭弥のソコからは白濁がこぼれだしている

ぎゅうっと恭弥を抱きしめて己のモノを抜き出す

ずるりとこすれる感覚に背筋が泡立った


「ハ…ぁー…、恭弥可愛い」

「ちょっと、重い…」

「あぁすみません」


こてんと恭弥の隣に横になると汗ばんだその額にキスを落とした


「大丈夫ですか?」

「...うん」

「まだシますか?」

「ちょっと…明日も仕事あるんだけど」

「おや、そうだったんですか?すみません…」


そういって恭弥の左手の項に口付ける

それをボーっと眺めていた恭弥は不意に自分の爪に付着した血に気づいた


「…っ、骸、背中見せて」

「はい?」

「血、出て...っ」


無意識とはいえ思い切り力を込めて爪を立ててしまったことに気づいて恭弥は少し慌てた

重たい上半身を勢い良く起こして横向きになっていた骸を容赦なくうつぶせにさせた

ぐえっと潰れたかえるのような声が聞こえたが気にしない


「っ、消毒…」

「大丈夫ですよ、これくらい」

「化膿したらどうするの…、」


きょろきょろとあたりを見渡してる恭弥の表情から本気で心配していることが見て取れる

今日は本当に驚かされてばかりいると思う

まさか自分のためにこんな表情をしてくれるなんて思ってなかった


「あった、救急箱…っぁ」

「恭弥…っ」


ベッドから降りようと床に足をつけるも、ずくんっと腰が立たない

床にぺたりと座り込んでしまった

未だ中に骸の精液が残ったままなのでぐずぐずと疼くソコ

とろりとした生暖かい液が内腿を伝っていた


「僕が取ってきますから…恭弥はベッドに戻ってください」

「・・・・・・」


ひょいっとベッドに戻された恭弥は未だに疼くソコの感覚を気にしないように努力する

救急箱をもって戻ってきた骸からそれを受け取る


「ほら、うつ伏せになって」

「はいはい」


器用に背中を治療していく恭弥の表情をみることができないこの体制

少しもったいないが、たまにはこういうのもいいかも知れないと骸は顔をほころばせた


手先は器用なのに、恋愛には不器用で

それでも一生懸命接してくれて、とても可愛い

絶対に手放さないと決めた、大切な恋人





fin,

 


あとがけ
⇒授業中、まさかこれがR指定に発展するとは思っていなかった自分がいます←
 ここまでお付き合いくださりありがとうございましたっ