「…どうしたんですか?こんな時間に。。。」

『…声、聞きたかっただけだよ』

「くふふ、それはそれは…でもこんな時間まで起きていたら明日の朝の仕事に間に合いませんよ?」

『…うん』

「では、おやすみなさい」

『おやすみ』


突然かかってきた電話は通話時間約30秒

時刻は午前3時

早朝から風紀委員の仕事で学校に行かなければならないはずなのに

わざわざ、電話をかけてきた愛しい人


「くふふ…僕もまだ捨てたものではありませんね」


そう呟いて、六道骸はベッドにもぐりこんだ





=== 5センチ。 ===





『 7/22 2:27
 from:恭弥くん
 sub :
  ==================
 今何してるの?
           』


深夜に届いた一通のメールに骸は苦笑をもらす

それは愛しい恋人からのメールで、とても短い文面だが自分のことを考えてくれているのだと思うとなんだか誇らしい

骸はすぐに返信メールを送った


『 7/22 2:31
 to :恭弥くん
 sub :こんばんわ
 ===================
 今ですか?
 そうですね、強いて
 言えば恭弥のことを
  考えていましたよ
            』


返事を送信して微笑む

いつだって恭弥のことを思っているのに、それが伝わってないのだろうか

否、恭弥の場合確かめていないと心配になるのだろう

逢えることが少ないのはやっぱり寂しい

だからこうした電子機器の発達には感謝するべきだろう


「…不安にさせてしまうのは、」


自分の不甲斐なさからか、恭弥の心配性からか…

それとも……


「僕の愛が、伝わっていないというのもありますよね」


否、それはないだろう

何かにつけて愛していると連呼する骸にいやというほど恭弥は愛を感じでいるはずだ

ただ、骸の場合それが度を過ぎている

握っていたケータイが小さく振動して光る


『 7/22 2:27
  from:恭弥くん
  sub :Re:こんばんわ
  ====================
 何気持ち悪いことい
 ってるの、咬み殺す
  よ?
            』


これまたお決まりな…

これはこれで可愛いのだけれども

骸は苦笑をもらすと返信する

なんと返信したものか、とすこし答えあぐねる


『 7/22 2:27
 to:恭弥くん
 sub :
 ===================
 咬み殺されるのは嫌
  ですね、恭弥くんと
 一緒に居られなくな
  ってしまいますし…
            』


まぁ、本気で殺されはしないのだろうけれど…

骸は文面にいつもらしさを感じで苦笑する

他愛のない話が幸せだと感じてしまうのはやはり恭弥のことを愛している証拠なのだろう

以前の自分だったらこんなことありえなかったに違いない

それに、恭弥だってそうだ

今はそうでもないけれど、出逢った時はそれはもう酷いものだった

自分が悪いのだけれども…


「あれからに比べればずいぶん成長しましたね」


気位が高くて、弱いところを見せようとしない

なにを考えているのかわからなくて、でも嫌がっていても本気で抵抗をしない


―――これは、自惚れてもいいのでしょうか…恭弥くん


思わず、口角を吊り上げる

逢いたくなってくる


 

「?」


ケータイが小さく振動して開くとメールではなく、電話

軽く首を傾げて受話口に耳を当てる


「どうかしましたか?恭弥くん」

『……いま、下にいるから』

「は…」

『ちょっと、迎えきて…』

「……まったく君は…っ!!」


通話をきらずに骸は走り出す

黒曜センターの3階にある自室から階段を駆け下りる

この寒空の下、隣町の並盛町からこの黒曜まで来たのだ

また風邪を引いてしまうかもしれない


「あれ、骸しゃん?どーしたんれすかー?」


途中すれ違った城島犬

しかしそんなものには目もくれず一目散に外へ向かう骸に犬は唖然とする


「なんらー?まーたツバメー?」

「ヒバリです!!」

「……地獄耳」




  



「恭弥くん!!」

「ハ…骸、?」


門近くの壁にもたれかかるようにして蹲っている恭弥を見た瞬間、骸は驚愕の表情を浮かべる

近くに停められた愛車

それだけでバイクでここまで来たことは明らかだが、恭弥はワイシャツの上に学ランの袖を通しているだけ

気のせいか、熱もあるようだ


「何をしてるんですか!こんな薄着で…っ!!」

「急いでたから…」

「風邪を引いたらどうするんですか!!」

「…治るから良い」

「そういう問題じゃ…っ!あぁもう!こんな冷たくなってまで逢いにこなくても呼んでくれれば…」

「僕が、来たかったからいいんだよ…」

「恭弥!!」

「―――…っ、」


思わず、息を呑む

骸が本気で激怒しているのがわかる

恭弥は一瞬泣きそうになった


「ぁ…すみません、怖かったですか?」

「……」


恭弥はうつむくと弱弱しく首を横にふる

しかしその眦に涙がたまっていることは明らかで、骸はそのまるい頭を包み込むように抱きこむ

身体は冷え切っているのに、耳元にかかる吐息がやけに熱い


「…やっぱり、熱がありますね」

「………ごめん」

「いいんですよ、もともこのためにきたのでしょう?」

「え…」

「風邪を引いたから、ここにきたのでしょう?わざわざこんな寒空の下…一人じゃ寂しかったですか?」


頬を包み込むようにして上を向かせる

熱の所為か潤んだ瞳が骸を上目遣いに見つめる

思わず、理性を失いそうになる


「あ…」

「きょ…っ」


がくりと横へ倒れそうになるのを受け止める

荒く息を繰り返す恭弥を見て、驚く

ここまで来るほどだから元気なのだろうと思っていた

しかし、すでに息も絶え絶えで意識も朦朧としていた

すぐに横抱きにして黒曜センター内に急ぐ

怒るなら、中へ入ってからでもよかったのに…


「もう少し、我慢してくださいね…」

「ハ…、ハ……む、くろ」

「すみません、僕は恋人失格ですね」

「―――……、ぃょ」

「何かいいまし………っ?」


意識を失ってしまったのか、ぐったりと動かない

急いで暖かい布団を用意しなければ…


「犬!千種!!」

「準備万端れすよー」

「 …」


バンっと大きな音をお立てて扉を開く

すでに恭弥専用と化したその部屋には清潔感漂うシーツと冷水の入った桶とタオル

犬から恭弥がきたらしいと知って、こうなることを予想したのだろう千種が用意したものだ

なんて気の利く仲間だろうか


「……ありがとうございます、二人とも…こんな夜遅くに」

「いえ…」

「まったくなんれこんな時間にきたんらか…」


口々にいって部屋を後にする

そっと恭弥をベッドに横にさせると学ランを脱がしにかかる

布団に包まるときは薄着のほうがより暖かく感じるのだ

  







「失礼しますよ」


上まできっちりしめられていたワイシャツのボタンをはずす

そこで、これがただの寒さ対策だけではないことを知る


「……あぁ、この間僕がつけた…」


首筋に残る、紅く咲いた所有印

わざと見えそうで見えないところにつけたのだが、やはり服でカバーされてしまったか

その可愛い抵抗に苦笑してワイシャツを脱がす

この寒いのにぐっしょりと汗をかいている

それなのに、体はガタガタと震えていた


「……恭弥くん」

「――ん……、?」

「おや、気がつきましたか?」

「む、くろ…」


気を失っていた恭弥が薄目を開けて骸に手を伸ばして首に抱きつく

首をかしげて見れば、予想通りの一言


「さむい…」

「……添い寝、で良いですか?」

「…ん」


骸はベッドに片足をついて恭弥の上に馬乗りになる


「ちょっと…」

「くふ…今の恭弥くんの姿、誘ってるようにしか見えませんよ?」

「……変態が」

「大丈夫です、病人を襲うほど溜まってませんから」

「………変態っ」

「おわ…っ?!」


腕に力を入れて骸を引き倒す

恭弥の上に覆いかぶさっている状態で、枕に顔を思い切りぶつけた


「……クス」

「ひ、ひどいですよ…恭弥くん」


あいたたた、と…顔を抑えて肘を突く

鼻を強か打ちつけたので鼻血が出ないか少し不安なところだ


「がんばれ」

「…何をどうがんばれと……」

「あはは」

「……恭弥くん、熱で頭がどうかしたんですか?」

「うん、そうかも」


ぎゅうっと骸を抱きしめる

珍しく甘えてくる恭弥に幸せを感じる骸だ


「重くないですか?」

「ん…平気」

「なら、寒くはないですか?」

「ん…骸、あったかい」

「……ですがいつまでも上にのってるわけにもいきませんよ?」


この体制は結構きついのだ

それに恭弥にも負担がかかる

暖かいのはいいのだが、如何せん問題があるのだ

ポスッと恭弥の隣の落ちる


「これなら僕も恭弥くんを抱きしめられますね」

「……うん」


恭弥の頭を包み込むようにして抱きこんだ

猫のように擦り寄ってくる恭弥が可愛くて思わず力がこもる

少し苦しそうにもごもごと何かを言っているのを感じて緩める


「…あったかいね、ほんと」

「くふ、裸になればもっと暖かいと思いますよ?」

「…じゃぁ、なれば?」

「いいんですか?」


意地の悪い笑顔で訊く骸に不貞腐れたように呟く


「自分で言い出したくせに…」

「今日は珍しく、甘えてくれますね」

「今日はそういう気分なんだよ…」

「風邪のせいですかねぇ」

「……いやなら自分の部屋に帰れば」

「誰がいやなんていいましたか」


むしろ大歓迎ですよ、と満面の笑みで言うと来ていたTシャツを脱いだ

無駄なくついた筋肉が見えて、恭弥は少し頬を染める


「おや?どうかしましたか?」

「なんでもないよ」


ぎゅうっと腰に抱きついて顔を隠す

それがまた可愛くて微笑ましく思う

気が変わりやすい恭弥に振り回されてばかりいるが、ときどき自分の前でだけ弱さを見せてくれる

自分だけを頼ってくれる

それを思うと嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ


「……ねぇ骸」

「はい?」

「あんな出逢いかたしたけど…骸は、僕が君と出逢ってよかったて思う?」

「…そうですね、確かに出逢い方が少しだけ複雑ですね」


マフィアを憎み、世界を純粋な血の海に変えようとしていた

今でもマフィアは憎むべき相手であり、相容れることのない存在

それでも…


「それでも、恭弥は…恭弥でしょう?」

「―――…」

「確かに今は、僕もボンゴレに世話になっている身です…いつかボンゴレの体を乗っ取ろうと考えてもいます
でも、それとこれとは話が別です。僕は恭弥くんを愛してますから」

「…ん」

「僕の心は、恭弥くんのものですよ」

「…うん」

「ですから、そんな…不安そうな顔、しないでください」

「――うん…っ」


不安なんて、消えてしまう

そんなに優しくてあったかい顔をされたら…不安なんてどこかへ言ってしまう

なにか嬉しくて、涙が出る

 







「あぁもう…泣かないでくださいよ恭弥くん」

「呼び捨てで呼んでくれないと泣き止まない」

「……まったく…仕方のない人ですね、恭弥」

「ん」


途端、擦り寄ってくる恭弥の額にキスを落とす

熱で汗ばんだそこは少ししょっぱかった


「大丈夫ですか?」

「何が…」

「熱…先ほどよりは少し下がったみたいですけど、まだまだ完治には程遠いですよ」

「……忘れてた」

「…………恭弥?」

「ごめん」


自分が風邪を引いていることを忘れていたなど、恭弥らしいといえば恭弥らしいのだが

にっこりといい笑みをする骸に素直に謝る恭弥も珍しい

くいっと顎をつかんで上を向かせるとその小さな唇にキスを落とす


「っふ…

「風邪は、汗を流すと良いらしいですよ?」

「だからって…っ!!」

「二日ぶりですねぇ」


そういいながらかちゃかちゃと恭弥の学ランのズボンを脱がしにかかる

自分のもまた然り

それに少しだけ焦りながら声を上げる


「骸!!」

「はい?」

「う、移ったら、どうするの」


その言葉に一瞬手が止まる

きょとんとした表情をした後、ふっと口元を緩ます


「心配してくださるんですか?」

「ぼ、くはただ…看病するのが面倒なだけだよ」

「おや、看病してくださるんですか?」

「僕から移ったら、しなきゃだめでしょ」

「くふふ…でしたら、風邪を引くもの良いですね」

「何言って…っぁ」


ちゅっと音を立てて腹部にキスを落とす

声を出してしまったことに少しだけ羞恥心を覚えて恭弥は口を押さえた

しかし骸はそれを許さない


「いくらでも声だしてくれてかまいませんよ、ここは防音対策万全ですから」

「…っ、変なことしたら咬み殺す…」

「おやおや」

「ぁ、ん」


すっかりと裸になった恭弥の下腹部に手を這わせてソレに触れる

思ったとおり、そこはすでに勃ちあがりはじめている


「くふ、淫乱」

「ふ…」


呟いて、恭弥の口をふさぐ

口内を存分に楽しんで銀色の糸を引かせる

荒い息を繰り返す恭弥に追い討ちをかけるようにソレを弄ってやるとビクンと反応を返してきた


「ぃ…やぁ…、っ」

「熱のせい、ですよね?」

「んん…っ」

「少し、早いんじゃないですか?」

「あぅ、っ」


少し弄ってやると先走りの液がとろりと骸の手を汚す

熱があるせいか、そこはいつもより敏感に反応した


「あ、ぁあっ…、」

「これでは恭弥の体に負担がかかってしまいますね……」

「な、に…っ」


だいたい、病人相手に何を言うか

そう思わずにいられない骸の言葉に恭弥は生理的な涙を流す


「むく…、骸…ぉ…」

「あぁ、もう限界ですか?」

「ん…っ」


コクコクと首を縦に振る

熱のせいで朦朧とする意識の中、骸の声だけが鮮明に響く

 





「すこし、待ってください」

「?」

「…、っ」

「……骸?」

「一緒に、イきましょう?」


何回もしていては、負担がかかってしまいますから

そういって自分のモノを弄る

恭弥は少し驚いて上半身を起こす

一瞬立ちくらみかなにかで頭がくらりとして額を押さえる


「大丈夫ですか?」

「――、…ん」

「ちょっと待ってくださいね、さすがに僕もこのままではつらいですから」

「…僕がヤる」

「恭弥…っ?」


突然骸の手の上からソレを握ると自分のモノと合わせて摺り上げる

いきなりの快楽にズクンと背筋があわ立った


「きょ…や……っ」

「ん、ん…、気持ち良い?」

「っく…、恭弥がシてくれてるだけで十分…っ、キますね」

「ふ…、ん」


空いてる左手で恭弥の頭を固定すると咬み付くようにキスをする

ただでさえ朦朧としていた意識に霞がかかる

自分が何をしているのかもわからない

羞恥なんて感じない

ただ快楽の海へ沈んでいく


「ん、んん…っむ、むく…ろ…ぉ…っ」

「くふ…、可愛いですね…恭弥」

「あ…あぁ…っぁ」


耳元で囁かれて、熱が高まる

全身で、骸を感じる


「あ、…ぁ、も…ダメ…っ」

「僕も、っ限界…」

「あぁ…っぁぁぁあ…っ!!」


―――ドクン、ドクン


勢い良く放たれた白濁が恭弥の顔にかかる

すべてを出し切って、ぐったりと骸に倒れこんだ


「はぁー…」

「も、ダメ……」

「くふ、すみません」

「……なんで謝るの」

「病人相手に盛ってしまったことに、です」

「……いいよ、もう…気持ち良かったし」


小さく息を吐いて骸から顔を隠すようにベッドに横になる

思わぬ一言にきょとんとした表情になってしまう

しかし、そんな表情も途端に破顔した


「…くふふ、今日は役得ですねぇ」

「うるさい。疲れた。寝る」

「はいはい」


隣に横になってぎゅうっと抱きすくめる

腕の中で目を瞑ってその暖かさを感じる

布団を目深にかぶると骸も目を閉じて眠りにつく

腕の中にある確かな存在を感じながら…







  








あとがき
なんだこれ
どこが5センチ。
最初だけじゃん!!
最後なになんであんなエロくなってるのよ
骸ヒバ書いてるとエロくなる罠
どうしよう、どうしよう!!!
もうちとエロくしたほうが良かったかな?!(マテ
ここまで読んでくださってありがとうございましたぁぁぁ(逃げた




⇒おまけ


 








「風邪治ったみたいでよかったですねぇ」

「うん」

「やっぱり積極的に汗をかくのはいいことですね」

「うん」

「恭弥くん、どうかしましたか?」

「……ねぇ、なんで君は風邪引かないの」

「はい?」


あれだけキスしたりなにしたりしたのに、まったく風邪菌の移らない骸に疑問を持ったとか持たなかったとか…