「こんにちわ」

「……なんで君がここにいるの」

「くふふ、恭弥くんのいるところならどこにだって現れますよ」

「咬み殺すよ?」







=== 穏やかな午後 ===







ここは並盛中学応接室

革張りのソファーに腰掛け書類整理をしているのは並盛中の旧制服、つまり学ランを来ている少年と

その隣に座る黒曜中の制服を着た少年の二人がいる


「いい加減帰れば」

「いいえ、彼方の仕事が終わるまでここにいますよ」

「目障り、死ね」


眉一つ動かさず書類に目を通している学ランの少年は雲雀恭弥

それを飽きもせずに見つめている黒曜中の生徒が六道骸

つい最近まで敵同士だった二人

しかし今では軽口を叩ける仲


「それにしてもこの資料…なんでこんなものを恭弥がすべて一人でやっているのですか?」

「愚問だね、風紀委員長だからだよ」

「それにしては多すぎませんか?」

「ほとんどが風紀委員の仕事の報告書とか生徒の遅刻欠席とか…とういうのをまとめた奴だよ」

「それって教師の仕事ですよ?」

「ここの教師は信用性にかけるからね」


酷いことをさらりと言ってのけるあたり恭弥がこの学校でどれだけの権力を有しているのかが容易に知れる

それに苦笑を漏らして骸は資料を手に取った


「おや?これは…」

「あぁそれはこの間の黒曜に襲われた生徒のリストだよ」

「おやおや」

「ホントはそれ君のほうが適任だよね」

「そうですね、少し僕もお手伝いできることがありましたね」

「………」


確かに手伝ってくれればこの仕事はすぐに終えることができるだろう

だが、人に助けを請うことを嫌う恭弥はふに落ちないことでもあるのか前髪をかきあげて額に手を添える


「…そうです恭弥、前から聞きたかったのですが…」

「なに……っ」


顔を上げると目の前にある骸の顔

それに一瞬頬を染めてしまったことに悔しく思うも骸は気付いていないようだった


「その前髪です」

「は」

「邪魔ではないのですか?」

「髪型に関しては君に言われたくないよパイナップル」

「し、失礼な!これはパイナップルではありませんよ!!」


慌てた様子で後頭部にあるパイナップルの葉っぱのような部分に手を添えて骸は言う

しかし誰がどう見てもパイナップル

それに自然と笑みがこぼれてきて喉でくつくつと笑う


「何…笑っているんですか」

「いや、その慌てようがまた、クク…」

「……えぃや」

「?!」


突然掛け声とともに前髪を上げられてどこから取り出したのかピンでとめられてしまった

まさに一瞬のことで恭弥は目を見開いている


「くふふ…それでも可愛いですよ、恭弥」

「……咬み殺す」

「おやおや、物騒ですねぇ」


今にもトンファーを取り出しそうな恭弥を抑える

…もとい、抱きしめた


「なに…」

「恭弥は抱き心地がいいですねぇ」

「〜〜〜っの腐れパイナップルが!!」


(…今日も激しいな)


それを応接室の扉を背に立ち警護する風紀副委員長・草壁は

毎日のように繰り広げられているこの二人のやり取りを暖かく見守る


ここは並盛中応接室

今日も今日とて賑やかな一室





fin.





あとがけ

骸ヒバってほのぼのばかり書いてる気がしてなりません…

ここまでお読みくださりありがとうございました!