「十代目!これどうぞ差し入れです!」

「あ、いらっしゃい獄寺くん」

「………」

「……」

「…えーっと、喧嘩はやめてね?」





=== かわいいね ===





良く晴れた土曜日

手土産をもって訪れた沢田家

しかしそこにはすでに先客


「さ、差し入れってなに?獄寺くん」

「駅前にできたカフェ、知ってますか?」

「あー、あのいつも行列の?」

「そうっス!そこのカフェラテケーキっス」

「えぇ?!あれって限定30個のやつじゃなかったっけ?」

「そうっす!!朝一で並んで買ってきました!」

「う、わー…すごい、獄寺くん」


思わず感歎

隼人はこういうところで律儀だ

と、綱吉を抱き込むようにして座っていた恭弥の機嫌が多少悪い気がする


「きょ、やさん?」

「綱吉、僕以外の人間からもらったものなんて受け取らないでよ」

「あぁ?んだとてめぇ」

「ふぅん、やるかい?」

「ふ、ふたりとも喧嘩はやめてくださいよー…;;;」


今すぐにでもそれぞれ武器を取り出しそうなふたりに綱吉は焦る

しかしその言葉でふたりが静まるのもまた然り

本当に、綱吉には従順な人たちだ


「せっかく獄寺くんが苦労して勝ち取ったんだから獄寺くん食べなよ」

「いえ!きちんと俺の分もありますんで10代目お召し上がりください!!」


あぁこういうところもさすがだな…

しかし、ここには恭弥もいるのだ

実は甘いものも普通に食す恭弥だ

こういう珍しいものは食べてみたいかもしれない


「……じゃぁ恭弥さん、半分こしますか?」

「は…」

「じゅ…10代目」


なんとなく、なんとなくだが本当に綱吉は可愛いなと思ってしまった恭弥である

しっかりと腰に腕を回されているので、首だけ後ろを振り向く綱吉の動作は本当に可愛い

思わず、抱きしめる力が強まる

綱吉の首筋に額を押し付けて顔を隠す

きっと今自分はそうとうおかしな顔をしているだろう


「どうかしたんですか?」

「んー…綱吉、好きだなーって」

「ケーキですか?」


うん、そ う じ ゃ な く て ね


「綱吉が僕のこと好きだ何だなーって」

「えぇ?!」


いきなり何をそんな突発的に!?

そう思うもなぜか声に出せない

のどの奥になにか詰まったような感覚

あぁ、照れてるんだな、自分


「……あー、いいっすか10代目」

「な、何っ?!」


顔を真っ赤にした綱吉が半ば投げやりに隼人の方を見る

挙手の形で、隼人は続けた


「ケーキ、3つあるんで…その…ヒバリにもひとつあります」

「え…っ?」「は…?」


はいどうぞ、とふたつケーキを取り出して二人の前に差し出す

紙皿とフォーク持参なのが隼人のいいところだろう

ふたりは一瞬それをみつめて固まる


「本当に3つあるの?」

「疑ってるんすか?ほら」


そういって箱の中を見せる

確かに、もうひとつケーキが入っていた

でもまさか、恭弥の分まで用意しているとはo思わなんだ…

一瞬唖然としてしまう


「それじゃぁ自分はこれで」

「え、いっしょに食べないの?」

「ちょっとこれから用事があるんス!じゃぁ10代目!また明日学校で!!」


そういうとさっさと出て行ってしまった隼人

しっかりと腰を掴まれていて綱吉はあとを追うこともできなかった

未だに唖然としている綱吉のわき腹を少しだけ擽ってやる


「ひゃぁ!!恭弥さん!!!」

「ほら、せっかく持ってきてくれたんだし、食べよう?」

「〜〜〜…そう、ですね」


言うが早いか、恭弥は綱吉を開放する

先ほどまで隼人が座っていた、恭弥の正面に腰を落ち着ける


「……」

「どうかした?」

「いや、あの…恭弥さんが俺以外の人から何かをもらうって言うのが、なんか」

「………ップ」

「へ?!」


思わず噴出した恭弥に綱吉は驚く

口と腹を抑えて恭弥はベッドに顔だけ突っ伏す

何か笑われるようなことを言ったかと綱吉は顔を紅くする


「な、なんなんですかー!!」

「だ、てそれ…さっき僕がったのと、クス…同じでしょ」

「……ぁ」


そういえばそうだと今度は首まで赤くなる

なるほど恭弥が笑う理由もわかる

あぁもうホント自分ってダメだなー・・・


「クスクス…ごめ、クク……クス、そうだね…じゃぁ僕がさっき獄寺にもらったケーキを綱吉にあげるから…
綱吉がもらったケーキを僕に頂戴?」

「へ…」

「そうすれば、綱吉にもらったことになるし、僕にもらったことにもなる」

「あぁ!なるほどさすが恭弥さんですね!!」


なんとなく隼人に失礼だが、もしかしたらこれを予想していたのではないのだろうか

そうだったら今度改めて御礼しよう


「ほんと、君って可愛いよねぇ」

「もーいいじゃないですかー!ケーキ食べましょう!ケーキ!!」


ケーキを一欠け口に運ぶ

ラテの味がほんのりと口の中に広がる

さすが女子に人気なだけあってすごく美味しい


「あーもー、今日は獄寺くんさまさまですね」

「今度何か買ってこようか?」

「……いえ!俺が作ります!!」

「そう?」


首をかしげて恭弥もケーキを口に運んだ

綱吉はそれをみて苦笑


だって、恭弥が女性に混じってケーキを買ってる姿なんて…想像しただけで可愛いじゃないか


そう思うと、その姿を誰にも見せたくないなーとおもう綱吉であった



 
fin.


→→あとがけ←←

なんだろこれ…
管理人がラテが好きだっただけかもしれないという…(ぉぃ
つかこの3人で三つ巴?
なんか三つ巴って感じもしないけど…
ヒバリさんの分まで用意しちゃうごきゅがいたらいいな、っておもっただけ…かな
が、がんばろ…

2007.9.8.
 倉紗 仁望