蒼く澄み渡った良い天気

空の散歩には最適なそんな一日

でも僕は今、お気に入りの止まり場所の上でお昼寝です






=== 今日も明日も明後日も ===






「あ、恭弥さんの鳥…」

「Pi!」


初めまして、前の主人が情けなかったので強くて格好良い、お歌の上手な雲雀恭弥さんのもとにいる鳥です

まだ名前をつけてもらってはいません

以前は「バーズの鳥」とひとくくりにされていました

でも今は「雲雀恭弥の鳥」としてみなさんに構って頂いています

特にこのご主人の恋人である沢田綱吉さんには愛されているようにも思えます


「なんでそいつがここに…?」

「恭弥さんからなにか伝言でも…」


綱吉さんをご主人と居られないときにいつも守っている獄寺隼人さんが首を傾げます

僕は綱吉さんの問いに首を横に振ります

といっても、僕は丸いですから首がどこにあるかわかりませんね

全身を横に振った、といったほうが解りやすいかもしれません

僕は綱吉さんの頭の上にちょこんと乗らせていただきました


「いっつもその鳥、ツナの頭に乗るのなー」


そういったのはご主人の天敵である山本武さんです

綱吉さんを自分の物にしようと目下努力中の彼は僕にとっても天敵です

無論、ご主人の敵は僕の敵なのですが…


「気に入られちゃったね…」


嫌がらない綱吉さんは本当に優しいと思います

なのでついついこの居心地の良い綱吉さんの元に来てしまいます

このふわふわな髪の上は僕の特等席、と言いたいですが

ご主人もときどき頭を乗せているのでそうともいえません

でも、こうしてここに居ても綱吉さんはもちろんご主人も怒らないので僕にとっては優越感に浸ることができます

ご主人の頭の上も快適ですよ


「ヒバリの鳥…っていつも呼んでますけど、名前ってないんスか?10代目」

「あぁうん…俺もずっと考えてるんだけどなかなか思いつかなくて…」

「勝手に名前つけると、ヒバリの奴が怒りそうだしなー」


僕の名前を考えてくださっていたなんて…っ

綱吉さんはやはりご主人の選んだお方です

そんな、ご主人の鳥で十分ですのに


「恭弥さんの鳥だから…ヒバード!とか…」

「ヒバード…」

「まんまだな!」

「や、やっぱり、ダメ…かな」


ヒバード!

ご主人の名前が僕の名前に入っていることに感動です

さすが綱吉さん、とても嬉しいです!

思わず口にしてしまいます


『ヒバード!ヒバード!!』

「おっ、気に入ったみたいだな」

「い、いのかな…?」

「さすがッス、10代目!!」


思わず嬉しくて羽根を羽ばたかせます

綱吉さんの左肩に移って頬に擦り寄ります

これは僕なりの感謝の気持ちの表し方です


「あはは、くすぐったいよ〜」


あぁ綱吉さんがご主人の恋人で本当に良かったと思います

ご主人には綱吉さんのような優しい方が一番似合います

もちろんご主人も優しいですが


  






「綱吉」

「あ、恭弥さん!」


不意に後ろからご主人の声がして、綱吉さんは嬉しそうな表情で駆け寄ります

僕は肩から飛び立ち獄寺さんの肩に移ります


「いいのかよヒバード、こっちにきてて」

『Pi!』


さすがの僕もお二人の邪魔はしたくありません

それに獄寺さんの肩の乗り心地も僕は好きです


「仕事終わったんですか?」

「うん、今日は早く帰れるよ」

「わぁっ嬉しいです」


ご主人と話しているときの綱吉さんは本当に幸せそうな表情で笑います

僕はあの表情がとても好きです


「あ、そうだ恭弥さんっ」

「なに?」

「あ、れ…っと、おいで」

『Pi!』


獄寺さんの肩から綱吉さんが差し出してくれた両掌に飛び乗ります


「この鳥の名前なんですけど」

「あぁ、いないと思ったら綱吉のところにいたんだね」

「はい、それであの…ヒバードって名前つけちゃったんですけど…いいですか?」

『ヒバード!ヒバード!』


ご主人が反対するとは思えませんが一応僕も主張しておきます

するとご主人は虚をつかれたようにきょとんとした表情のあとに俯いてしまいました


「きょ、やさん?」

「っぷ…くく…」

「わ、笑って…っ?!」


驚きました

ご主人が人前で笑うことは滅多にありません

ましてやこんな獄寺さんや山本さんの前で…


「ごめん、なんかあまりにも…綱吉らしいね」

「そ、ぅですか?」


綱吉さんが少し頬を赤らめて首を傾げます

それを見て少しだけ涙目のご主人は頷きました

僕もこの名前は綱吉さんだからこそ考え付ける名前だと思っていたところです

ですからとても嬉しいです


「うん、じゃぁ今日からヒバードね」

「はいっ!」

『Pi!!』


思わず嬉しくてご主人の肩に降り立って頬にすりつきます

ご主人が僕の頭をちょんっと撫でてくれました

なんだかお二人の子供になったような気分です


「それじゃぁ帰ろうか、綱吉」

「はい、それじゃぁね二人とも」

「おぅ」

「また明日ッス!10代目!」


綱吉さんが大きく手を振ってご主人の右隣に並びます

僕はご主人の右肩にとまっているので自然、間に挟まれる形です

なんだかこの場所に居られることがとても誇らしく思えます


「今度ヒバードようのご飯とか考えてきますねぇ」

「そういえば鳥ってなに食べてるの…」

「ミミズ、とか…?」

「…パンくずが無難じゃない?」


いやいや、ご飯なんて

それくらいはお二人にご迷惑はかけず自分で調達できます

もちろんお二人の気持ちはとても嬉しいです


「じゃぁ今度ペットショップとか行って見ましょう」

「そうだね、たまにはそういうのも悪くないかも」


お二人のデートプランに僕のことが組み込まれました

これはとても他の人では真似できません

僕だけの特権ですね

それはとても愛されていると感じてしまいます

でもお二人が一番愛しているのはお互いであることを知っているのでそこまでは望みません

明日も、明後日も、その次も、ずっとお二人を見守って生きたい今日この頃です




 ...fin





あとがき

これ書いてるとき「ヒバードって誰がつけたんだろぅ」って呟いたら
「作者」と返してくれた妹が大好きです←

ヒバード一人語りでした
い、いかがでしたでしょうか?
勝手に綱吉が名づけたことにしてしまいましたが…
なんとなく、綱吉っぽいなぁと思ったので

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
感想待ってますv