=== ホットミルク === 恭弥said. ===



「っくし…」


広いリビングに小さなくしゃみの音だけが響く

時刻はPM11:30

静かな部屋に一人、雲雀恭弥はいた


「…さむ」


もう5月だというのに雨が降るとまだ肌寒い

そろそろ雨期に入るからか最近は雨ばかりだ

恭弥はおもむろにたちあがるとキッチンへ向かう

冷蔵庫を開き何かないか探る


「…賞味期限明日までだ」


なんとも所帯じみた科白を云うと牛乳パックを手に取り冷蔵庫を閉める

小さめのなべを取り出すとパック半分ほど残っていた牛乳をその中へ注いだ

火をつけて暖める


「……」


真白なそれを見つめてスプーンでかきまわす

ほかにすることもないので温まるのを待つばかり


「―――綱吉、なにしてるかな…」


つい4時間ほどまえに家の前でまた明日と手を振った恋人のことを思い出す

もしかしたら今頃リボーンにしごかれているのではないかと思うと苦笑がもれる

そう考えているうちに調度良い温度に温まったそれを火を止めてからカップへと移す

少し砂糖をいれて甘くした


「……熱、」


口をつけると少しだけ熱い

だが、こんなものだろうと少しずつ飲む


「……」


そういえば最近触れるだけのキスしかしてない気がする

明日逢ったらキスしようかな

きっと君は少し困った顔で一生懸命ついてこようとするんだろうけど…

そこがまた、可愛いんだよね


そんなことを考えながらカーテンのひかれた窓の方へ歩み寄る

夜景が臨める大きな窓

綱吉の家の方を見る


まだ、君は起きているだろうか

今、何をしているのだろうか

僕のことを考えているだろうか

大好きだよ…

綱吉―――…