綱吉…

綱吉、綱吉綱吉綱吉綱吉…

ねぇ、起きてよ

起きて笑ってよ

どうして目を覚ましてくれないの?

どうして君はそんなに幸せそうな顔で眠っているの?

ねぇ、起きてよ…

綱吉…

お願いだから目を覚まして

その声で僕を呼んで

その笑顔で僕を癒して

いつもみたいに抱きしめて

綱吉、綱吉綱吉綱吉綱吉―――――…





「入るぞ、ヒバリ」

「……」


ベッドの上に横たわっているのは雲雀恭弥

声をかけられて、起き上がる


「ほら、今日の分の資料…」

「……あぁ、いたの」

「さっさと仕事しろ」


恭弥の部屋に資料を持ってきたのは獄寺隼人

毎日違う人が資料を持ってくるが、今日は隼人の番だったらしい

ベッドに添えつけの机の上に詰まれた資料をみて恭弥が呟く


「……、」

「あん?どーかしたのか」

「……綱吉は…」

「―――…なんだ?」


その人は…すでにこの世にいないのに…


「綱吉は、いつになったら来てくれるの」

「……お前の仕事が、全部終わってからだな」

「…そう」


―――それじゃぁさっさと終わらせなくちゃね


そう呟いて資料に目を通していく

しかしその目は虚ろで文字を読んでいるのかすら怪しい


恭弥は…壊れてしまった


綱吉が死んで、ボスを失ったボンゴレファミリーは今、キャバッローネに世話になっている状態だ

次のボスが決まるまでの間…

しかし、恭弥は綱吉が死んだことにより気が狂ってしまった

そして、今でも綱吉が生きていると思っている

だがなかなか逢いにこない想い人…

すでに恭弥は理解しているのかもしれない

それでも…


「10代目は忙しいお方だからな」


今、恭弥を失う訳にはいかない

綱吉の側近であった恭弥はボンゴレの内部をほとんど把握している唯一の人物

恭弥までいなくなってしまったらボンゴレは確実に壊滅するだろう

XANXUS他幹部がボンゴレ内部を仕切っている

今はこの状態を維持しなければなたない


「……もうすぐ、桜が咲くね」

「あ?あぁ…」

「一緒に桜、見る約束してるんだ…」

「…そうか」


恭弥の傍にはいつも10代目沢田綱吉の守護者であった者たちがついている

なにもないように

なにもおこさせないように

だから、こういった会話も少しは恭弥を回復へ導いてくれると信じているから


「………」

「ヒバリ?」

「…、少し…疲れた」

「…じゃぁ寝てろ、それからまた仕事すりゃいいだろ」

「うん…そう、だね」


ゆっくりと枕に頭を沈めて寝息をたてる



 




音を立てないように注意しながら隼人は部屋を出た


「おー獄寺、恭弥の調子はどうだ?」

「跳ね馬か…今疲れて眠っちまったよ」

「そ、か…久し振りに時間が取れたから逢いに来たんだけどな…」

「……今、あいつが逢いたいのは10代目だけだ」


悲痛な思いの篭った、言葉

それに跳ね馬こと、キャバッローネ10代目ボス・ディーノは眉を顰める


「ツナは、もう…この世にいねぇ」

「そんなこた解ってる!だからって…あんなヒバリをずっと見てるしかできねぇなんて…っ」

「…ったく、なんで死んじまったんだろぉな…ツナのやつ…っ」


兄貴分である自分よりもこんなに早く…


「…10代目の死に際を見たのは…アイツだけだ」

「……」


恭弥が綱吉の亡骸を抱いて倒れていた

周りにはぎちゃぐちゃになったしたいが2体

解っているのはただそれだけで…一体何があったのかはわかっていない

しかし、ボンゴレ10代目が死んだという情報はまだ外部に漏れていない事から見ると

そこに居た二人が綱吉を亡き者にし

その二人を恭弥が亡き者にしたのだろうことだけ


「……」

「跳ね馬?」

「とにかく今は…恭弥をどうにかしなきゃなんねぇな…」


そう言って扉を睨みつけるように見る

扉の向こうには眠っている恭弥




ねぇどこにいったの?

どうして僕を置いていくの?

返事してよ

どうして動かないの

あぁ眠ってるんだね

じゃぁ僕も…眠ろうかな

少しだけ…

君を守りながら

大丈夫、何があっても僕が守るから…

だから安心しておやすみ




綱吉…


  
...fin




あとがけ

綱吉がいない…orz
なんとなくごきゅ→ヒバツナになってました
ここまで読んでいただきありがとうございました!