――恭弥said.


降りしきる雨の中…

待ち続ける

君に逢いたいから

来てくれるって信じているから






=== piovere === 恭弥said ===






さらさらと雨が降る

天気予報では降水確率20%とか言っておきながら結構本降りな雨に苛立ちを覚える

待ち合わせ場所に雨宿りできるようなところはない

辛うじて近くの木の下にいればあまり濡れることもないが、それでも葉っぱを伝って雫は落ちてくる

久し振りのデートなのに雨だなんて最悪

そんなことを考えながら待ち合わせ時間10分前

家に傘を取りに帰るには中途半端な時間

かといってコンビにに傘を買いに行くにも中途半端な距離

君が傘を持ってくれば相合傘を堂々とできるだろう

でも君が来るまであと10分…


「……早く来ないかな」


雨に打たれるのはどうでもいい

ただ、早く君に逢いたい

逢いたくて逢いたくて…思いだけが先へ先へと求めている

だから待ち合わせ時間より早く来る

君を待つために

君を待たせないために

早く来ないかな

逢いたい

逢ったらまずなんて言おうか

君はきっと慌てながら謝罪するだろうね

遅くなってすみません、とか

あぁでもその前に傘も差さずにこんなところで雨宿りしてる僕をみて驚くかな

それも、良いかもしれないね

あぁ早く逢いたい

家まで迎えに行けばよかったかな

でもそれだといつもと変わらない

待ち合わせっていうのをしてみたいって君が望んだからこうして待っているけれど…

こんなにも君に逢いたくなるなんて、予想外だったよ


「恭弥さん!」


やっときたね

僕の愛しい君


「待たせちゃってすみません!雨、濡れませんでしたか?!」


慌てながら近づいてくる

そんな君を抱きしめた


「恭弥さん?」

「逢いたかったよ、僕の綱吉―――…」


雨なんか気にならない

君に逢えればそれでいい

そう思えるから…