もし、俺が死んでしまったら…彼方はどうしますか……?




=== 落涙 ===




「…縁起でもないこと言わないでくれる?」


作業の手を止めて俺を睨んで来る

それもそうだろう…

この人は冗談とか…そういうのが好きではない


「でも…俺はいつ死んでしまってもおかしくない立場にいるから…」

「大丈夫…綱吉は死なないよ」


どんな根拠で、そんなことが言えるのだろうか

自信たっぷりにいう彼方に俺は首を傾げる


「どうして、ですか?」

「僕が守るからね…」


あぁ…なるほど……


「僕は君を命に懸けて守らなければならないんだよ」


そういうことか


「それは…守護者として、ですか?」


少し伸びた髪を指で弄ぶ

ボンゴレ幹部であり、時期ボンゴレ10代目・沢田綱吉の雲の守護者…雲雀恭弥

今日は書類に目を通して俺が判子を押すという単調な作業


「それは…」

「……?」

「俺が、ボンゴレ10代目だから…ですか…?」


それとも――――…


「何言ってるの」

「え…?」

「僕は君を恋人として守ってあげるって言ってるんだよ…」


――…恋人として…沢田綱吉を守るんだよ


そう言って微笑む彼方に…

泣き出したい――衝動…

どうして彼方はそんなに優しいんですか?

どうして…欲しい言葉を言ってくれるんですか?


「泣かないでよ…」

「――…っ」

「泣かないで…綱吉」


そう言って優しく抱き締めてくれる


「恭…弥ぁ」


涙を流す

縋りつくように、抱き付く


「ああもう…ホントに綱吉は昔から泣き虫だね」

「っく……ぁ…」

「大丈夫だから…僕が守ってあげるから…もう二度とさっきみたいなこと、言わないで」


頷くことしか…できなかった

この人の腕の中でただただ泣くことしかできなかった

俺の涙一つで…どうにでもなるのなら…

どうか…彼方の心がずっと俺に向いていますように…

どうか俺の前から、この人がいなくなりませんように…

どうかこの関係がいつまでも続きますように…

どうか、どうか、どうか…

いつまでも彼方の隣りに俺がいられますように――…