その後、すぐに綱吉は眠ってしまった

病み上がりに学校まで走り身体を酷使させてしまったからだ

そんな綱吉に半ば呆れてため息を吐く恭弥の表情はどこか嬉しそうだった


「まったく、君はいつもいつも無茶ばかりするんだから」

「すみません…」


もう一日だけ入院することになった綱吉は今、恭弥にりんごをむいてもらっている


「それにしても、どうして猫なんて助けようとしたの」


それは綱吉がこうなる原因を作ったもの

恭弥はその猫さえいなければ平和だったのにと機嫌が悪い

そんな恭弥を知ってか知らずか綱吉が苦笑しながら話し出す


「いや、なんかこう…その猫、黒猫だったんです」

「は?」

「それで、恭弥さんにどことなく似てるなぁって思ってて…見てたんですけど…」


恥ずかしそうに頬をかく


「道路に飛び出したかとおもったら向こうから車が来たんで、つい…」

「―――…」


驚いた

そんな理由だったなんてと


「あの猫、どうなりました?」

「え…あぁ、飼い主がいてね…綱吉に心底感謝してたよ」

「そうだったんですか」


嬉しそうな綱吉の横顔を見つめる

そんな理由じゃ、怒るにも怒れない


「なんでもその猫の好物はツナ缶らしいぞ」


いきなりそんな声が聞こえてきて二人は窓のほうを見る


「ちゃおっす」

「リボーン?!なんでそんなとこから」

「なんとなくな」

「それより、なんで猫の好物なんて」

「似てるじゃねぇか」

「えぇ?」


にやりと笑うリボーンの表情に綱吉は首を傾げる

しかし恭弥は額に片手を当てて俯いている


―――確かに、似ているかもしれない


「ヒバリの好物はツナだろ」

「リ、リボーン!!!」

「まだまだおめぇもガキだな、こんなことでうろたえてたんじゃ立派なボスにはなれねぇぞ」

「マフィアになんかなる気ないっていってるのにーーーー!!」


その日、元気な声が病院内に木霊していたという