さて、この状況はいったいどういう事なんだろうか。
家に帰ってきたら兄貴以外の靴はあるのに居間には誰もいない。
つまり残り4人は部屋にいるのだろう。
別に寂しい訳じゃない。
気になったから部屋に入る。

「ふっ、帰ったz「一松兄さん知ってたの?!」え…」

いつものように襖を開けて帰還の言葉を述べれば無視された上に被せられる。
別に寂しい訳じゃない。
中を見れば窓際に正座する五男。
その隣で体育座りしている四男。
ふたりの正面で正座している六男。
それをソファーに座って眺めている三男。
真ん中にはスマホが1台置かれていた。
どういう事なんだろうか。
誰も視線をこちらに向けようともしないので、仕方なく三男の隣に腰掛けた。
別に寂しい訳じゃない。

「…知ってたけど…、まぁ相手まで知らないし…十四松の自由でしょ」
「それはそうだけど!この子ってこの間十四松兄さんが助けた子でしょ?」
「えっ!あっ!そ、それは…」
「十四松が助けた?」
「なに、どういうこと?」

事情を知らないのか、三男と四男が五男に視線を向けた。
俺はその隙に六男のものだろうスマホをのぞき込む。
どうやら写真のようだ。

「一ヶ月と少しくらい前かな…?隣町に十四松兄さんと買い物に行ったんだけど、その帰りにちょっとトラブルに遭遇したんだよね」
「何それ聞いてない」
「言ってない」

このドライモンスターめ、と三男が呟く。
この位置からだとうまく写真が見えない。
ソファーから六男の隣に移動する。
完全にオレの存在を無視してる四男が一瞬こちらを見た気がしたがすぐに視線をそらされた。
別に…寂しくない。

「歩道橋をね、登ってたら逆側の階段で揉み合ってるような言い争ってるような2人がいて…そしたら十四松兄さんが突然走り出して…」

六男が説明をしている間、スマホの画面が暗くなってしまっていたので写真が見れない。
触っても大丈夫だろうか?
みんなの視線が五男と六男に向かっているのを確認してスマホに手を伸ばした。

「そしたら、片方が階段から転がり落ちて…なんとか一番下まで落ちるまでに十四松兄さんが間に合ったんだけど…」
「その落ちた子がその女の子?」
「うん」
「もうひとりは?」
「…それが、僕…あの人多分、知ってる…」
「え?」

三男と六男の会話を聞きながらスマホのホームボタンを押す。
ロック画面になったが六男の暗証番号ならよくスマホを開く時に見る手の動きで知っているので、難なくロックを外した。
ふと、六男の方を見るとカタカタと震えていた。
先程まで開いていた画面がスマホに映し出される。
あれ、この子は…。

「うん?このレディは3年程前に隣町のスーパーでアルバイトに勤しんでた十四松の想い人ではないか?」
「「「はっ?!」」」
「に、兄さん!」

オレが呟くと、4人が一斉にこちらを向いた。
焦った様子の十四松がオレを呼ぶ。

「っていうか!いつからいたのカラ松兄さん!」
「え…」

六男にそんな事を言われてこちらが驚いた。
確かに背を向けられてはいたが、声をかけたのに気付いて貰えてなかったのか…。
これは寂しい。

「どういうことカラ松、お前その子知ってるの?」
「そうなの?カラ松兄さん」
「えっあっ…その…」

三男と六男に詰め寄られる。
が、五男は言って欲しくないような目をしていた。
言うべきか、言わざるべきか。
今、この瞬間…オレは試されている!

「ウザイこと考えてる暇あんなら説明しろクソ松」
「え…」
「っ兄さん…ぼくが話す!」
「十四松…」

俯き気味にポツリポツリと五男が彼女のことを語り出す。
やはりオレはまた余計なことを言ってしまったのだろう。
それが少し心苦しい。
視線を感じて顔を上げれば、目だけで人一人殺せそうな形相の四男と目が合ってしまった。
死ぬかもしれない。



......................................................



カラ松が難しすぎて頭悩ませすぎて進まないので一旦切ります。
また名前変換なかった…。




*前 次#