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※性描写あり

どうしてこうなってしまったのかと、思案に暮れていた。大振りの窓にかけられた分厚いカーテンはきちんと閉められておらず、夜も更けて、単純な黒一色になってしまった空を覗かせていた。それを遮るように視界に入りこむ、やけに生々しく白いものは女の脚である。私のものだが、独立した生き物のようだ。天井に向かって伸ばされ、足の甲がこちらを向いている。足の間を陣取ったイルミは、太腿を抱くようにして、そのまま柔軟でもするように、えいっと私の脚を上半身のほうに近付けた。膝が曲がる。私は俎板の鯉よろしく、されるが儘である。両腕はイルミによって後手に縛られて、腰の下にあった。痛みはさほど感じないが、外れたり緩んだりする気配はない。衣服もすでにイルミによって剥ぎ取られていた。剥き出しの女陰に、イルミの無感動な視線が刺さる。秘所に息を吹きかけるようにしながら、イルミは先程と同じことを言った。
「それで、どこに隠したんだ?教えてくれたら、俺だって少しは優しくなるかもしれないよ?」
私もまた最前と同様に首を横に振ることしかできない。知らないものは知らないのだから。
「私じゃないっ…本当に知らないったら!」
私の訴えはイルミの嗜虐心を煽ることにしかならなかったようだ。彼の豊かな黒髪が股関節のあたりを撫でたことで、イルミが動いたことを知る。擽ったさに身を捩ったが、体勢を変えることは許されなかった。
「どうしたものかな…オレとしてもお前を信じてやりたいとは思ってるよ」
淡々とそう言い募りながらも、イルミは秘部を目で犯すことをやめない。恥ずかしさともどかしさで腰が勝手に動いてしまう。
「ただし前科があるから、はいそうですかという訳にはいかないな」
「ひゃっ…」
イルミは指先で、すでにかたくなり始めていた陰核を無遠慮に弾いた。
「あれ?…もしかしてこの状況に興奮してた?」
堰を切ったように溢れ出した愛液を見て、イルミはそんな風に評した。これほどまでに私を辱めても、この行為はまだ取り調べの域を出ていないらしい。
「意地悪っ!」
「自分がしたことを棚に上げるのはよくないよ」
どうやらイルミは頭から、私が犯人だと決めてかかっているようだ。あまりの信用の無さに、私はどんどん悲しくなってきた。加えてこの屈辱的な格好である。羞恥心も相俟って、必死に叫んだ。
「知らないって言ってるじゃない!もうイルミなんか知らない!離婚よ、離婚!」
そもそも夫婦間でも強姦は成立するんじゃなかっただろうか。緊縛なんて全然趣味じゃない。イルミは何度か瞬きしながら、漸く私の顔を見た。
「それは困るな、本当に知らないの?」
何度もそう言っているだろうと、再度主張しようとしたが、イルミが唐突に密壷にその長い指を突っ込んで掻き回したので、私の口からは嬌声しか漏れなかった。

事の発端はイルミが結婚指輪が見当たらないと言い出したことだった。慎ましやかだけれど、かなり値の張る、私たちが夫婦である証。私は本当に知らなかったが、間の悪いことに、先月ふざけてイルミの指輪を隠すという悪戯を仕掛けたところだった。その時は早々に見付かって、こっぴどく叱られて事無きを得たが、イルミの言う前科としてはバッチリである。彼が私の言う知らないを信じていないのはそういう事情からだ。日頃から信用が無い訳ではないと思いたい。

午前3時の探しもの

「それで、どうするの?」
結局昨夜は寝かせて貰えず、ネチネチと嬲られた私は、腰に怠さを覚えつつ、朝食のトーストに丸いバターを走らせながら尋ねた。向かいに座るイルミは無表情ながらも参った様子で、サラダボウルを掻き回している。
「うーん、もう少し探してみようかな…」
私もその方がいいと思う。イルミが遺失に気付いたのが深夜だったせいで、寝室以外ろくに探せていないのが現状だ。
「どうかしたの?」
私たちからたっぷり三席離れてスプーンでシリアルを砕いていたキルアが口を挟んできた。まだ十歳にもなっていない筈だが、いやに大人びた口調である。
「お前には関係ないよ」
「実はね、」
突き放すイルミに被せるようにして、キルアに事情を説明した。現状を把握した少年の顔に、みるみる呆れの色が広がっていく。
「結婚指輪なら洗面台にあったよ、イル兄自分で外したんじゃない?」
私は夫をジッと見詰めたが、彼は視線を合わせなかった。

2018.04.01 ユイさまへ 清純派の私に裏は荷が重かったです…