第三話



会議室に連れて来られてそこには文字通り山のような書類の数々。理由を聞いてみるとなんとも言えないものだった。
「とりあえず、風紀委員を作ったからね。その関係の書類だよ」なんで作ったのか、なんて聞いた私が馬鹿だと知った。

「草食動物、群れ、そういった奴らを咬み殺すため」

すごい野望の持ち主でした。それ以上は聞くに聞けず、目の前の書類を片付けていた。

「あ、今更ですけど…お名前は?」
「…ほんと今更だよね」
「あは、はは」
「雲雀恭弥」
「ひばりくん・・、雲雀くんは何年生ですか?」
「中1」
「中1っ!?」

中3じゃないの!?年下かもしれないとか思っていたけど、そんなに下だったとは予想外だ。雰囲気的に中3くらいかなー、と。確かに顔は幼いけど中1っていうオーラじゃない。色白だし。美少年だし。

「中3かと、てっきり…」
「…喧嘩なら買うよ」
「何の喧嘩ですか!」
「…イライラする」
「いきなり!?」

雲雀くんの沸点が分からない。君はあさくらみなみ35歳のあの芸人と同じ類か。中1と言っておきながらあえてのアラフォーか。「なんか失礼なこと考えてたでしょ」・・・なぜにバレた。いえいえ、そんなことありません。はあ…なんだか彼は傍若無人というか、我が道をまっしぐらに行く人だと思う。


その後はただ黙々と書類を片付けた。ただ整理してファイリングするだけなのでとても簡単だった。作業中、本当に沈黙だったけど、雲雀くんとの沈黙は苦じゃないのが不思議だ。雲雀くんに終わったと伝えると「ワォ。思ったよりも出来るんだね、君」という褒めているのか貶しているのかよくわからない言葉をもらったけど。


「もうこんな時間か・・・」

雲雀くんが時計を見ながらポツリと呟いた。たしかに長い針が6時前を指していた。

「これだけやれば十分だ。帰るよ」
「・・・そっか、気をつけて下さいね」

雲雀くんのペースに乗せられていたせいか、すっかり忘れていた。私はワープ・・・しかもどうやら世界を跨いでしまったらしい。雲雀くんの推測だけど私もこれには同感だ。・・・つまるところ、私には家がなければ家族も友達もいないわけで。ある意味雲雀くんが忘れさせてくれていたけど、どうしようか。野宿は御免被りたい。

とりあえず住む場所は明日探すとしても問題は今日寝る場所だ。学校の会議室なら誰もこないだろし、朝早く出て行けば生徒に会うこともないだろう。そう思い雲雀くんに言おうとした。

「何言ってるの?」
「え?」
「君どうせ家ないでしょ。仕方ないから家に来なよ」
「…でも」
「いいから。それとも野宿する気?言っておくけど、学校は貸せないよ」

まさか、雲雀くんがそんなことを言ってくれるなんて思いもしなかった。どちらかというと、いや、いわなくても一人が好きそうな彼が。

「じゃあ…とりあえず今日は、お邪魔させてもらってもいいですか?」
「さっきから言ってるでしょ。早くしてよ」

ドアに手を掛けながらも待っていてくれている彼を怒らせないようにはやく帰る準備をしよう。




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