第零話(後)

「いててっ」
「やっと起きたか、ダメツナが」
「ってリボーン!」

獄寺くんと山本も気絶はしたものの目立った怪我もなかったらしく今日は帰らせたらしい。良かった…ってそれよりも

「写真たてって何だったんだよ!!」
「ヒバリから何か言われてねーか?」
「(無視かよ!)…………………あ、そう言えば何か言ってたような」
「なんだ?」
「………たしか、君なら見つけられるのかな、って言ってた気がするよーなしないよーな…」
「…なるほどな」
「…でも、あの時のヒバリさんって…」

殴られる前、ほんの一瞬だけど…ヒバリさんはまるで泣きそうで諦めたようで苦しそうな、いつものヒバリさんからは想像も出来ないような表情だった。殺気が充満していたあの部屋も、その時だけ何故かどことなく寂しい感じがして、たぶん、それは

「ヒバリさんの何か…うまく言えないけど、大切なものなんだろ?」
「…………詳しいことは分からねえが、それがヒバリの鍵だってことだ」
「鍵……?」
「ヒバリが並中、並盛にこだわる鍵だ」

ヒバリさんが並中好きは確かに凄く驚いたけど、そんな特別な理由があるとは思えないけど…。

「リボーンの勘違いじゃ…?」
「いいや、勘違いなんかじゃねぇ」
「な、なんで言い切れるんだよ!」
「チッ、いいかよく聞けダメツナ。実は―――」






風紀委員が並中、並盛のトップにたったのはヒバリが立ちはだかる相手を全て倒してきたから。そんなヒバリの強さを恐れる奴が大半を占めるが中にはその強さに惚れてヒバリの下につく奴もいる。そいつらが今の草壁や風紀委員の奴らだ。勿論、そんなのはヤローしかいねぇから女子は風紀委員にはなれない。ヒバリ自身女子はいらないと断言してるからな。

「だが、例外がいた」
「…え!?そんな話聞いたこと、」
「ねぇだろーな。……風紀委員、いやヒバリが広まらないよう手を打っていたからな」
「誰なんだよ、その子…今も並中にいるんじゃないのか?」
「分からねえ」
「は?それどういう意味だよ…」

そう。例外がいたことでさえ衝撃だが、何より不思議なのがその風紀委員が“存在しない”こと。
何ものにも捕らわれることのない孤高の存在、それはいずれ必要とされる“雲”を示す言葉であり、まさに体現して見せているのがヒバリ。だから、俺はヒバリに目を付けた。ただ1つ不可解だったことは、並中に異様に固執する理由だった。ただ好きだから、秩序だから、そんな理由だけでヒバリがここまでこだわっているのか?突き止めてみれば、ある1人の“風紀委員”の存在。ただ唯一の女子であり、名前まで分かったが…最大の謎が残る。彼女は“存在しない”。

「ちょっとヒバリに会ってくるぞ」
「なっ!?、っておい!…行っちゃったよ…」






















ところ変わって応接室。かの風紀委員長の手には、写真たて。

「…あまね」

彼の呟きを聞いた者はいなかった。

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