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標的4







「じゃじゃ〜ん!竹寿司特製おにぎり〜」
「うわ〜!優月ちゃんすごーい!」
「さすが・・・、てかアンタ誰にあげるの?獄寺?」
「え?なんで獄寺?」
「優月ちゃん仲良しだよね、獄寺くんと」
「?普通じゃない?」
「(アンタ以外の女子で獄寺にあそこまで言える奴いないっつーの)」



今日は家庭科の実習でおにぎり作りだった。家がすし屋な優月の得意分野だ。なぜか不思議なことにせっかく作ったおにぎりを男子にあげるという習慣がある。
私はあげるという約束していた相手もいないから、自分で食べようかなーと思ったり。ツナにあげようかな、とか考えたけけど・・・京子のもらうだろうから、ね。うーん、獄寺かあ。




「今日は家庭科実習で作ったおにぎりを男子にくれてやるー!」
「「「うおおおお!!!!」」」

そんなこんなで始まったおにぎり渡し。

「ツナー、京子のとこいったの?」
「え、優月!?な、何言ってんだよ!」
「早くいかないと取られちゃうよー」

少し頬を染めるツナ、ほんと分かりやすいのなー。
ぽんっと京子のいる方へ押すとなぜか顔を青くしたツナが焦っていた。
(そんなに緊張してるのかな?)

「お、おい、テニス馬鹿」
「ん?なに、獄寺?」
「そ、それどーすんだよ」

そう指差されたのは、私が作ったおにぎり。思えば、どうしようかな。そこでふと、花の言葉を思いだした。・・・・あ、食べるかな?

「いる?」
「はっ!?」
「あ、いらないかー」

やっぱり・・と少し落胆した。まあ、獄寺が食べるなんていうはずないと思っていたけど。
(ちょっと、ショックなのなー・・・)

「や、山本っ!俺ほしい!」と入ってきたのは、近くにいた佐藤だった。

「あ、佐藤。どうぞっ」
「や、やったー!」
「!?」
「あ、ずりぃ佐藤!俺もいいか?山本」
「!?!?」
「あ、田中。おっけーなのなっ!」
「んじゃ俺ももらっちゃおうかなーっ」
「〜〜っ!!」
――――ばくっ
「「あ」」

田中に続き藤本がおにぎりをとろうとした瞬間、それは私のお皿から消えていた。
ばくっ、と食べたのは獄寺だった。

「いらなかったんじゃないの?」
「っるせ!誰も食わねーなんて言ってねーよ、馬鹿」
「ぷっ、それはごめんごめん」

そっぽ向きながら「仕方ねーから食ってやったんだよ」という獄寺に思わず笑ってしまった。

だって・・・・少し見えた耳が真っ赤だったから。ほんと素直じゃないのな、獄寺ってさ。

「食べたら死ぬんだぞっー!」
「ツナ?」
「死ぬ気でおにぎりを食う!!」

京子のおにぎりに手をのばしていたほかの男子を押しのけて、彼は京子のおにぎりをすべて食べた。京子のおにぎりは自分のものだ!ってことだろう。そんなに積極的だったとは知らなかったのな。

「やるなーツナっ」
「さすが10代目!」




食べる?食べない?
え、え、何がどうなったのーっ!?


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