――――決める!!


「めぇぇぇんっ!」

――――パシィンッッ

「一本!勝者、濱川さえ!」


わあああああっと歓声が体育館に響き渡った。面を外した少女はまだあどけない顔をした小柄な女の子だった。


「ぷはぁっ!――疲れたっ!」

「すごい!すごいよ、さえちゃん!小学4年で優勝するなんて!!」

「えへへ、ありがとう!健兄!」

「ちょっと僕、お母さんに電話してくる!」



(すごい嬉しそうだな…)
私は着替えに行くために更衣室へ足を進めた。

(ふぅ……)

今日は剣道のジュニアオリンピック決勝戦で、私が小学2年のときから強くなりたいという一心で始めたそれで優勝できたのがとても嬉しい。

健兄―もとい小磯健二は私のお隣のお兄さんで何かと仲良くさせてもらっている。今日も私のお母さんの変わりに見にきてくれたのだ。
(ま、お母さん同士が仲良しだからね)


健兄を待つ間パソコンを開けてOZにログインする。そこには見慣れたアバターとたくさんのメールが現れる。どれも新しいデザインについて、だ。

ここだけの話、最近私はOZのアイテムのデザインを担当したりアイテム自体を作ったりしている。前にデザイナー募集があったときたまたま応募してみれば採用されてそれ以来ずっと続けている。


「おーい!さえちゃん!ごめんね…待った?」



健兄の声にパソコンを閉じた。

「ううん!! 行こっか健兄!!」








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