エンドレスラブ




呼び方が変わったのが一年前。それまで名字で読んでいたのを俺から申し出て名前呼びにして貰った。それから、半同棲だったのを止めて同棲に格上げした。出会ってから今年で丸四年。相変わらずあの人は外見だけなら十代でも通じる洗練さで、格好良く可愛く居てくれている。寧ろ、出会った頃よりも若返ってる気がするんだよなぁ。俺のデッサンのモデルにしていた頃よりも最近の方のがより綺麗に、可愛くなった。いや、描き手の勝手な妄想は抜きにして本当に出会った頃より可愛くなったなぁと思う。この先もずっと一緒に居たい。タマに喧嘩もするし、相変わらずネガティブ思考のスパイラルに陥って彼の中でもう無理だと勝手に自己完結されて別れを切り出された時だってある。誰が別れるか!と強く強く主張して、俺が如何に彼を好きかを身をもって知ってもらうし、そんな優しい(大概そういう時は俺の将来とか両親の事を考えてくれている。自分ではなく、俺の事を思っての行動。方向性間違えてるけど)ひとだから何時まで経っても気持ちは変わらず寧ろ高まって、ついこの間、翔太さんにプロポーズをした。

「ゆ…、こーぅーそこの丸皿取ってー」
「はぁい只今ー」
「ありがと。…よっし完成!木佐さん特製回鍋肉の出っ来上がり!」
「お疲れ様です。運びますね」
「んー」

プロポーズをした筈なんだけど、その後の反応は何もなく、一週間過ぎてしまった。翔太さんには何も無かったかのように接されていて、何だか少し切ない。と、いうかプロポーズしたのに反応なしって事は、駄目、という事なんだろうか…。四年間一緒に居て、もう二人して相手はこの人しかいない!って思っているのに。男同士だから養子縁組しかないんだけど、流石にそう言ったらこのひとはまたぐるぐるスパイラルに陥りそうだから言ってはないけれど。やっぱり養子縁組になったら俺が木佐さんの籍に入るのが妥当だよなぁとは思ってる。彼のが年上だし。
―なんて、まだ返事を貰ってない内から気が早いか。

「皇?どうした?あんまり美味しくない?」
「あっイエイエ!凄く美味しいです!」
「そっか、良かった」
「ハイ、翔太さんが作るご飯は何でも美味しいですよ」
「お前のが上手だし褒めても何も出ねーぞ!」
「ホントです。何時もありがとうございます。大好きです」
「ん、俺も」

照れたように笑う翔太さんがあまりにも可愛くて、愛しくて。テーブル越しに軽くキスをした。昔なら考えられない位に素直にすんなりと好きと言ってくれるようになったのに。
どうしてプロポーズは無かったようにされているんだろう。確かに働き盛りの三十代半ばだし、一人でも十分生きていけるだけの貯えはあるひとだけど。でも別に経済的に負担をかける訳じゃないし、ただ、これからもずっと一緒に居たいと思って、強く願ったからプロポーズしたのだけれど。無かったように普通に接されているのはどうしてだろう…。
翔太さんの考えが分からない。

「翔太さん」
「んー?」
「俺、この間の返事まだもらってません」
「…は?」
「先週、俺翔太さんにプロポーズをしたんですけど、その返事をまだもらってません」
「…は?」

「四年間一緒に居て、醒める所が益々好きになって、コレはもう好きすぎて仕方ないんで一緒になりましょうって俺、プロポーズしたんですよ!なのにっ…」
「ちょっ、ゆ…皇!?」
「翔太さん!」
「は、はい!」
「俺とずっと一緒に居て下さい。好きです。大好きです!」
「う、うん…?え、ちょっと待った、皇」
「何ですか?」
「先週って…あの、何時もの告白…?」
「何時もより真剣に言いましたよ俺!」
「…わ、分かるかぁぁぁ!!!」

翔太さんが突然立ち上がってこちらにズカズカと向かっていきた。そのまま首根っこを掴まれて、こう叫ばれた。

「あれがプロポーズになるんなら俺毎回プロポーズされてんじゃん!何回も好き好き言われて毎回俺の心臓爆発しそうなんだけど!?てかっ…」
「…翔太さん?」
「ずっと一緒に居てなんてっ…改めて言わなくったってずっと居るよ!お、俺だってずっと、ずっと皇と居たいから…!」
「…」

…あぁ、何てこった。そうだった、このひとは、こういうひとだ。だから好きになったし、これからも不変の愛を貫くだけの気持ちになっているのに。
翔太さんは俺の首根っこを掴んでいた手を離すと、首にぎゅぅっと抱き着いた。そのままググッと力を込められる。

「ちょっ…苦しい、苦しいです翔太さんっ!」
「…バーカバーカ!」
「えぇぇー…」
「…ずっと一緒に決まってんだろー!」

耳を真っ赤にして叫ぶように話す翔太さんがあまりにも愛しくて、そのまま首に翔太さんをぶら下げた状態で寝室まで直行。今すぐ翔太さんと愛し合いたい。一つになって、存在を触れ合って確かめたい。
そうして激しく愛しく、愛し愛されて。微睡みの中で翔太さんの髪を撫でながらまったりとしていたら。

「…こう」
「はい?」
「…プロポーズ、ありがとう…うれしい」
「翔太さん…」
「俺、もずっといっしょに居たいから…おとこどうしだけど…だからよけいに…うん、ありがと。……ん…な」
「?」
「…すー」
「…翔太さん?寝ちゃいました?」

きっと、謝ってたんだろう、翔太さんの心の痛みを俺は知っている。でも、何も謝ることなんかないんだ。貴方と生きていくって決めたのは俺自身なんだから。四年前、出会った時から今までずっと、俺は後悔なんかしていない。逢えて本当に良かったと思ってる。こんなにもひとを好きになれるなんて知らなかった。ソレを教えてくれたのは、翔太さん。貴方なんですよ?
ありがとう、コレからもずっと一緒に居ましょうね。

今度教会に行って、二人きりで結婚式をしませんか。永遠の愛を誓いましょう。
そう言ったら照れたようにきっと微笑ってくれる。
大好きです、翔太さん。ずっとずっと、一緒に居ましょうね。
眠る愛しい貴方の頬に誓いのキスをして、抱き締めて眠りについた。







雪名誕生日おめでとう!木佐さんと末長くお幸せに!
20110906 happybirthday!
Koh Yukina

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