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「えっとね」

とりあえずひたすら困った顔をして、レイヴンは左右の二人を交互に眺めた。
左には長い黒髪。右には短い金髪。

「…離してくんない?」
「却下だ」
「ダメです」

言葉こそ違えど、同じ内容の返事が同時に返ってくる。
二人にがっしりと両腕を拘束されながら、彼は再度ため息をついた。

「今日こそはハッキリしてもらうぜおっさん」
「不本意ですが、僕もユーリと同じ意見です」

ぎらりと四つの目が睨みつけてくる。

「フラフラフラフラしやがって。いい加減観念しろ」
「あなたがそれを望むなら、それでもいいと思っていましたが…限界があります」
「な、なんのことかなぁ」

諦め悪くとぼけてみると、それならばと二人は頷き合った。

「そうかそうか。そんなに決めかねるか」
「ならば仕方ないですね…ユーリ」
「おう」

非常に似た表情をした幼馴染たち。
フレンの声に頷いて、ユーリはひょいとレイヴンの体を担ぎ上げる。

「え、ちょっと!何よ何よ下ろして!」
「暴れると落っこちるぜ」
「レイヴンさん、僕たちはあなたに十分な時間をあげたつもりです」
「そんでも俺かフレンか決められないってんなら」

さあ、と顔が青ざめた。
肩越しに見える青年たちの、その笑顔に嫌な予感しかしない。

「この際、三人でってのも悪くねえかと思ってよ」
「他の誰かなら嫌ですけど、まあユーリなら僕も大丈夫かなと」
「は?え?ちょ、え?どういうこと?」

二人の言うことを理解してはいけないと、本能が警鐘を鳴らした。
だがそんなレイヴンに説明などしてやる気などないらしい二人は、さっさとフィエルティア号へ乗り込む。
トクナガに明日の朝まで誰も近づけるなと言い放ち、手近な船室へレイヴンを放り込んだ。
ベッドに尻餅をつき、若干抗議の声を上げる。

「何すんのよ…乱暴なんだから。ホントに俺様のこと好きなわけ?」

それがまずかった。
ピキリ、と笑顔の端に引きつりが見えて、

「フレン。おっさん、この後に及んでまだ解ってねえみたいだわ」
「そうだねユーリ。これからゆっくり解ってもらえばいいさ。夜は長いし」

言いながら、二人は徐々に距離を詰めてくる。
狭い船室に、レイヴンの悲鳴が響き渡った。







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