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血表現注意


僕のこと、すきですか。そう問えばスノウは目を見開いて僕の右手に握ってある物を凝視した。何も言わなかったから僕はもう一度問う。僕のこと、すきですか。彼は言った。悪ふざけは止せよ。お前の事好きじゃなかったらキスとかしねーよ、と。
「本当ですか。嘘じゃないんですか」
「嘘じゃない。ホープが好きだ」
「セラさん、よりも?」
それは、と口籠り俯くスノウを見て僕はセラさんの方が大事なんだな、と思った。当たり前といえば当たり前なんですけどね。分かっているのに強く強く握り締めている右手が震えたスノウがセラの方が大事なんだと言った僕はとても悲しくなる。僕は彼の一番になんてなれないんだ。不意にぽろぽろと涙が流れて言葉が勝手に口を吐いて出る。そんなの嫌です。嫌なんだ!僕はあなたの一番でありたいし、僕だけを必要として欲しい。僕だけを見ていて欲しいんです。あなたの一番になれない僕なんていらない。お願いです殺してください、あなたに殺されるのなら僕、本望ですから。吐いた言葉はスノウに届いたかな。薄く笑って僕はす、と両手でそれを胸に翳す。笑ったのは、自嘲の意。僕は口を開いた。
「僕のこと、すきですか」
「好きだ、愛してる。だから、それを下ろせよ」
「ずっと僕の傍に、いてくれますか」
「いるよ、ずっといる。俺にはお前だけだよ、ホープ」
嗚呼、嬉しいな。ずっと傍にいてくれるだって。僕は嬉しくてスノウに抱き付く。雪崩れ込むように僕は彼に抱き付いたものだから翳したそれ、ナイフが右手の所為でスノウの逞しい腕に刺さった。血が、どろどろと。僕たちの関係はこんなもの。僕は偽りの言葉に騙されて、スノウは僕の激しい衝動に縛られる。死にたくない、って感情は面倒ですね。胸に顔を埋め、笑いながらそう言うとスノウの息を呑む音が聞こえた。さっき、僕だけって言ってくれましたよね。その言葉はあなたが僕を裏切れない、と言っているようなものなのに。馬鹿なひと。くすくす笑って腕に突き刺さったナイフを手の甲まで一直線に滑らせた。この血も、全て僕のものって事でいいですよね。


堕ちゆく時に何を思ふ


▼希望が腹黒いを通り越して病んでる。


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