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死ネt…すいません!


スノウは名前とは反対にとても情熱的な人だった。雪みたいに冷たくて儚い人ではない、っていうのは事実だと僕は思う。寧ろ情熱的で彼自身が融けてなくなってしまうのではないか、と本気で考えた事もあった。明るさが、彼の長所。その明るさが彼の短所でもある。人の心も読み取れないような馬鹿な大人だと僕は思ったものだ。そんな馬鹿を好きになってしまった僕はもっと馬鹿なのだろうか。
「ねえ見てホープ君。雪だよ」
隣にいたセラさんが目を細めて降って来た雪に手を伸ばした。セラさんの手に落ちた小さな雪は徐々に溶けてやがて液状のものとなる。雪だったそれ、をセラさんは大事なものを守るかのように手で包んだ。
「…寒く、ないですか」
「うん、大丈夫」
ホープ君は?とにっこり笑ってセラさんが聞いてきた。スノウは、この笑顔を守りたいと思ったのかな。そう考えながら僕は大丈夫です、と一言だけ呟いて空を見た。白い雪がゆっくりと落ちてくるのが見える。スノウ。あなたがいなくなってから何回目の冬を迎えたんでしょうか。
「ホープ君、はスノウの事を本気で好きだった?」
「…はい。セラさんと同じように」
「そっか。それなら私も文句言えないなあ」
「……すいません」
「謝らないで。ホープ君のせいじゃないんだよ」
事故、だった。スノウが死んだのは事故のせい。僕とスノウは不倫関係だった。セラさんと結婚しているにも関わらず僕がスノウを、スノウが僕を忘れられないせいで結局関係を続ける事になったんだ。そんな穢れた関係だった僕を守ろうとして彼は死んだ。間抜けな話です。
「ホープ君。来年も一緒に雪、見ようね」
「セラさんが、良いのなら」
「私はホープ君と雪を見るの、楽しいよ。楽しみにしてるくらい」
約束、と絡めた小指が僅かに震えているのを僕は見逃さなかった。僕は、この人にどうすれば償えるのだろう。考えても分からないから最低な事に僕は精一杯笑顔を作って約束です、と言った。セラさんの笑顔がとても悲しそうだった。僕も、少しだけ泣きそうになる。


緩く絡めた小指
(貴女を一生をかけて守れば僕は赦されるのでしょうか)



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