俺にはお前だけだから、と強く抱き締めてくれるこの腕も後少ししたら離れてしまう。だから僕はこの腕が嫌いだ。僕だけ、なんて薄っぺらい嘘の言葉はいらないし、何より必ずそれが嘘だと分かってしまうのは怖い。感付いていたとしても真実を知るのは僕にとって、とても怖くて仕方がないものだった。だからこそ僕はこの腕を離す事が出来ないんだと思う。彼には将来、配偶者となる人がいた。僕はその人の代わり、なんて言ったら僕自身傷付いてしまうけどあながち間違ってはいないんじゃないかな。今、この時間の彼が僕だけのものだとしても、未来に僕の姿は彼の横にはない。当たり前か、と自嘲気味に笑えば何が可笑しいんだよ、と耳元で声がした。
スノウの方に身体を向けて指を絡めた。緩く絡めたそれは僕たちの関係に酷似していて薄く笑ってしまう。僕は彼に依存している、のかもしれない。それは彼にも今だけ言える事。僕だけ、と嘘でも言ってくれるなら僕はそれに甘えます。そしてもう一度僕だけだと言ったのなら僕は、
嘘だと思わせないで