長い前髪ごと後ろにまとめ、

すっぴんの顔を惜しみなく晒したなまえが頬杖をついている。

ソファに俯せになりながら、真剣に見つめるのは愛用のノートパソコンだ。


突き出た額と、通った鼻筋。

その間からぴょんと飛び出る長い睫

薄い瞼は何かを読み取るようにぴくぴくとうごめいている。

唇はぷくっと突き出され、左手の指で弄ばれている様はセクシーだった。


時折サイドボードに手を伸ばしては、缶ビールをあおりながら

何かを打ち込み、スクロールし、熟読している。

最近では自宅へも帰らずなまえの部屋とスカイファイナンスの直行直帰なので

もうこの際マンションは引き払ってしまおうかと思えるほどだ。

なぜこの家はこんなに居心地がいいのだろう。


「何してるの?」


気になって問いかけてみるものの、返事は曖昧だ。

『うーん』や『あー』の返答が

まるで口うるさい母親に対して応える中学生男子のようにも思える。


きっと放っておいて、ということなのだろう。

しばらくテレビに没頭するとしようか。

缶ビールを片手に、なまえの足元と被る位置でソファに腰掛けながら

中身のないバラエティ番組を堪能した。

大井町のラーメン屋、なかなか行くことがないなぁ

最近は神室町から一歩も出ていない。


ものの数分も経たないうちに飽きて、再度なまえを見遣る。

相変わらず頬杖をついて可愛らしい仕草で、文明の利器にご執心だ。


つまらないテレビ番組を見ているより、よっぽど美味しい肴になるだろう。

秋山はテレビからついと向き直り、なまえの横顔を見つめた。


よく見ると、皮膚の薄い箇所はほんのりと赤らみ

目はアルコールのせいかブルーライトのせいか、潤んでいるようにも見える。

セクシーだなぁ・・・と独り言ちたい気持ちを抑え

缶ビールをあおる。


「どしたの?」


なまえがこちらを見ずに問う。

可愛いなぁと思って、と笑うと

ご冗談を、と笑い飛ばされてしまった。


「ねぇ、なまえちゃん。もし俺がさ・・・」


なまえちゃんとシタイって言ったら、どうする?



衝撃的発言を受けて、なまえの唇を弄っていた指が止まる。

ゆっくりとこちらに向き直るとなまえの目は何か

いかがわしいものを見るような目で。


「・・・酔った?」

「ですよね。」


本当は、勢いで致しちゃったりしたい気持ちもあるのだけど。

この無防備なお姫様のお城に入り浸れる特権は

まだ失いたくない。





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