Bon anniversaire











長期連休が明けて、休暇中の仕事を取り返す為に必死になって業務をこなす今日この頃になると

毎年やっと、真島の誕生日を思い出す。

忙し過ぎて会う間も惜しく、素通りしてしまった一昨年。

祝えと強制的に酒を奢らされた去年。

今年は当日になっても何も言わず、なまえのリビングのソファの上で

仕事を持ち帰ってしまったなまえを横目に、だらだらと煙草を吸っている。



「おめでと、誕生日。」



気付いてしまったものだから、言わないでは気が済まなかった。

別に何か用意していた訳ではないが、奢れと言われたら一晩越えられるくらいの現金は財布に入っている。

いや、記憶は定かでは無い、まぁカードがあればなんとかなるだろう。



「ん、あぁ。」



てっきり飲みに行くぞ、奢れなんて続くのかと思ったけれど

真島は煙草を一口吸って、適当に返事をしただけだった。

それもそうか、もう祝って嬉しい歳でもあるまい。



「いくつになったの。」



知っていて、わざと問いながらなまえは真島がどっかりと腰掛けるソファに移った。

柔らかくしなる白い革は、座る度買って良かったと思う。

真島は面倒臭そうに煙草を甘噛みしてなまえに一瞥をくれると

天井のどこかを見ながら考える素振りをした。



「18歳。」

「嘘。」



笑いながら否定するなまえの額をぺちんと叩いて、永遠の18歳やと再度強調した。

ピーターパン症候群、という名称がちらりと頭に浮かぶ。

真島にネバーランドはよく似合う、もちろん海賊側という意味では。



「未成年の喫煙は法律で禁止されています。」



なまえが手を伸ばして、真島の咥えた煙草を抜き取る。

あっさり取れた吸いかけを自分の口に含んで思いっきり吸いこんだ。

残業続きの今週は、やたら煙草が美味くて敵わない。

これ見よがしに紫煙を吐き出し、手持無沙汰に真島の膝の上に這い上がって

首を延ばして口の端に触れるキスをしてみた。



「若いって、証明したろか。」



なまえより更に意地悪そうに笑った真島が、なまえの右手を掴んで押し倒す。

ソファに背中がついてしまう前に、なまえは焦って灰皿に煙草を滑らせた。

太腿の内側にあたる彼の下半身からは、情事の気配が漂っている。



「駄目、捕まっちゃう。」



クスクス笑いながらなまえは左手で真島の髪を梳いた。

若い男は嫌いじゃないけれど、未成年淫行で捕まるのは勘弁して欲しい。

まだにやけた笑いを浮かべて居る真島の舌は、なまえの首筋を上から下へと撫でている。



「バレへんかったらええやん。」



シャツを捲りあげて脇腹をなぞる、真島の笑いを含んだ吐息が鎖骨をくすぐる。

なまえは相変わらず笑ったまま、手を伸ばして合意の愛撫を始めると

デジタル時計の日付が変わった。











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