加齢臭 ep.真島の場合



「ねぇ、いいでしょう・・・?」


なまえが艶っぽく呟く。

普段自分からは誘ってこないなまえだけに、

この言い方には寒気すら感じるほど興奮する。


「しゃあないのう・・・」


いつものように頬を緩めながら、真島はすっと姿勢を変える。

同じソファの隣に座っているなまえに喰らいつ・・・   きたい気持ちを抑え、

なまえに背を向け、例の箇所を差し出す。


後頭部を。


「ああああああ!! 気持ちい、気持ちいいよ真島さん!!」


なまえがあの手この手で後頭部を責める。

指先でなぞったり、掌で触ったり、頬ずりしたり、唇で触れてみたり。

文字通り、ゾクゾクする。

しかし自分からあれがしたい、これがしたいとは滅多にいわないなまえの頼みだ。

しかも普段あんなに無関心でクールななまえが、これほどまでに興奮している。

めちゃくちゃ不本意だが、真島は耐える。

これに数分堪えれば、なまえとの濃密な数時間が待っていると躾けられているからだ。


「・・・? 真島さん、今いくつだっけ・・・?」


ふと、なまえの顔が後頭部から離れる。

なんだか今夜は嫌な予感がする。


「いくつも何も、まだピチピチの49やないか。」


なまえの顔が引きつっているように見える。

真島さん・・・と言葉につまるなまえが、今はとても怖い。

なんやねんと凄んでみるも、それ以上になまえの関心は違うところにあるようだ。



「か、加齢臭する・・・」



世界が暗転した。

このピチピチのワシが加齢臭!?

んなアホな!!

毎日ちゃんと気にして洗ってんのに!!

髪洗うついでに顔も洗ってまうけど、最近は耳の後ろも洗うのに!!!

なんでや、不条理や!理不尽や!!!


「真島さん!?」


その夜、部屋の隅で体育座りをした真島がなまえと同じベッドで眠ることはなかった。







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