何故俺は蕎麦ではなくうどんを食しているのだろうか。先ず普通に考えて蕎麦とうどんを間違えることはない。色も、麺の太さも違う。どう間違えるのか不思議だ。あ、そんな奴が目の前に居るから俺はうどん食しているわけか。
でもまぁうまい。


「年越し蕎麦が食べたかったです…」
「お前が蕎麦を知らずに買い出しなんかするから」
「…随分痛い言い方しますね」


だってそうじゃん。蕎麦だと思い込みながら白い麺を啜る。が、やはりうどん。ちゅるっ。ぢゅるるる。ああなんて色気のない音、幾らいいムードになってもこれじゃあぶち壊しだよなぁ、そんなこと頭の隅で考えてたら骸と目が合う。

うわ、ちょっと怒ってる。確かにキツかったかもしれない、けど、事実は事実だから仕方ない。それにもう言っちゃったことだし。時間は戻らない。
そう事実といえばさっきから舌が、ぴりぴり、じくじく、訳のわからない感覚に包み込まれている。


「あ…舌火傷した…」
「自業自得。冷ましてして食べないんですから」
「うるさいなぁ」
「ふぅふぅすればいいだけですよ?」
「え、やだ!めんどくさい」
「じゃあ…僕がしてあげます!」


返事の直前に器をひょいと取り上げられる。

ふぅふぅ。

形の整った唇に少し目を奪われてしまう。ハリがあり、でも触れたらふにゅうっと柔らかそうで。ほのかな桃色の唇。そこら辺の女の子より魅力ある……とは、まぁ言い過ぎたかもしれないが。

しかも「はい綱吉くん!あーん」だなんて。可愛すぎるだろコノヤロー。勿論ぱくり。口へと迎え入れた。程好い温度に頬が緩まる。其れを3度程繰り返し、器には汁だけが残った。

一方骸はというと、はふはふ、くふくふ。うどんを含み幸せそうな笑みをしている。俺は見事溺れてるな、なんて、少し他人事で済ますことにした。


「来年は蕎麦食べような」









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