「骸は誰が好き?」

唐突すぎる彼女の開口一番は久しぶりに訊いた女の子な質問だった。
――彼女、いや、綱吉の粗野な態度は何処へやら、驚きのあまり後ろに一歩引く。すると太股に何かが音をたて皮膚にほんの少し減り込み、タイツに細々とした真っ直ぐな線が走った。刺さった枯木を、ぽきり、と折り芝へと落とすと同時にふたつのスカートが靡く。そして思うのだ。

ああ、やはりこのスカートは可愛くない、と。

どうも可愛く見えなかった。確かな矛盾が眉間に皺をよせる。目が可笑しいのか、それともファッションセンスが可笑しいのか。3日前に綱吉とこっそり旧校舎から学校を抜け出し、電車に乗って色違いの靴にスカートを購入してはしゃいでいたことを、それが悩内に何気なく、ふと脳へと過ぎった。

成る程、そういうことか。

「あなたは、雲雀でしょう?」

その後、携帯には数件も担任の雲雀先生から連絡がきており、親に連絡されてはさすがに優等生な振る舞いをしているから一応困る訳で大人しく戻ろうかと綱吉に伝えたが携帯のディスプレイを虚に眺め茫然。恐らく、本当に恐らくだが、綱吉には連絡は着ていなかったのだろう。牙を剥く綱吉は可愛いげがない。これと同じだ。思い知らされる。これだって購入当初は良かった。けれどたったの3日の短期間でこんなにも変わる。
どうせ人間だってこういう原理で成り立ち必要性を生むのは一瞬だけだと。ぱちりと一瞬、瞬きをした。

そう、この関係も一瞬。

「確かに気になる存在ですね」
「…やっぱり、っ」
「で、好きなんですか?」
「それ訊いて…お前はどうすんのさ」
「あなたもでしょう?」

会話は途切れた。幼なじみも築き上げてきた友情さえも、そこで、途切れて、胸には焦燥感があるのみ。届いてほしいのに届かない。

「僕は、君が好きなだけ、だ」

なのに、なのに、ああ、どうしてこうなった。





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