あのとき言えば僕達は変わっていたのかもしれない。 なんて今更、後悔。
「雲雀くん、あの、」 「なに」 「…いつから男を抱く趣味が…?」 「そんなのある訳ないでしょ」
二日前、抱いたときのくぐもった喘ぎ声が耳元に残存している。忘れられない。あれが僕と君との最初で最後の性行為だと思っていたのに、どうしてもまた抱きたいと欲に負け、寝静まっている現在夜中、夜這いとしてきた。 僕は同性に興味がある、そういう訳ではない。ただ確かに間違ってはいないかもしれない。それは同性の君、骸に恋心があったからだ。
「あぁ…あん、んっ」 「ふ、やっぱり感度いいね」 「ひばり、そこ、いやだぁ!」
ずっ、とナカ深く埋め、ぐちゃりと淫らな音が響くように腰を速めると、目を見開き見る見る内に先程より赤らんでいく。息継ぎも荒く、そこら辺の女よりも色づいていた。限界が近いのか視点があっていない上に快楽で涙腺が緩み、生理的な涙で歪んで、僕なんか見えていないだろう。そんなことを思い至っていると背に爪が食い込みピリリと痛みが走る。ああ限界なのか。
「はぁっイく、ひんっん゛」 「僕も…だから一緒にイこう?」 「はい…もうっ…!んあっひゃぁぁ!」
ぎゅうぎゅうと締め付けられ達したことが解ると僕も堪らず果てた。背にあった腕が急に落下。気を失っている。さらりと少し汗ばんだ髪を撫でると、眉間に皺をよせ、僕が骸の正常な寝息を乱した。無理矢理の行為。もちろんそんなこと赦されないだろう。けれど僕だって…。
「お願い。お願いだから、僕を…僕自身を拒否しないで」
愛してる。呟いた言葉は、十年前に君がそう言ったように、今更だけど届くだろうか?
十年来の返事。 (答が遅くてごめん、君を愛してる)
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