「正チャン、」


ぽつりと名前を呟く度、重なる面影に、生温いような熱いような液体が瞳の奥から込み上げてきた。逢いたい、と言えば最後であって僕にとっては始まりの一歩でも、最後と言っても終わりに近付くのでもなく、もう終わった、過去形になるのだ。


「び びゃく、ら、!」


ザザッと回線乱れに聞こえたのは愛しい裏切り者の声。空耳なのかなぁ、ねぇ、正チャン。


「どうして?」


不思議、繋がった。ボンゴレでも頑張ってるみたいだね正チャン。どうして裏切ったのに僕に連絡をつけるの?そんなの僕が耐えられないよ、我が儘になっちゃうよ。愛してるのに離れていかないで、最後なんて言わないで、もう、嫌なんだ。


「白蘭さんはひとりじゃない」
「だから裏切ったの?」
「違う、貴方は……僕が守ります」


うん?言ってる意味がわからないよ。けどまたボンゴレ関係なんだね。あぁもうだからボンゴレなんか大っっ嫌い!僕の正チャンを奪わないでよ、僕はひとりなの!!寂しいのに、怖いのに、正チャンが居ないと何もできない無力な僕に戻っちゃう。



なのに、なんで。



「間違っている貴方の考えをボンゴレとして正します」
「僕は間違ってなんかないっ!」


なんでそんなこと言うの!全部ボンゴレの所為だ、ボンゴレを知ってから正チャンが僕の意見に対して偏見し始めたんだよね。あれ、ね、寂しかった悔しかった。時間が巻き戻ればいいのに、何度願ったんだろう。そうしたら一生離さなかった、ずぅっと閉じ込めてたのに。


「僕は間違ってない!信じてよ、僕は、ねぇ!正チャン!」
「落ち着いてください。白蘭さん」
「やだ、落ち着いてなんか、」


急にパソコンの画面が光る。あれ、僕いつ電源入れたっけ、なんて呑気に考えてたら正チャンがいた。久しぶりに見る顔は、僕と同じだった。


「泣いてる、の、?」
「必ず、貴方を迎えにいきます。この戦いが終わったら、貴方を抱きしめたい」
「…僕が勝つよ、絶対」
「えぇ。けど僕らも負けません」僕のだあいすきな恋人からの挑戦状。これは受けなきゃダメでしょ、ていうか、受けなきゃ損!


「うん。叩きのめしてあげる」


だから、はやく僕の元までたどりついて。抱きしめてほしいよ。





あ な た の 愛 に 、
埋 も れ た い の









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