ラブラブなのか、そうじゃないのかよくわからないカップル。
 まあ、それが二人らしいといえばそうなんだけど。


「で、なんでこの並びなわけ」

 吉岡と理恵と一緒に帰るのはいいんだけど、なぜか自分が真ん中にいる。右に理恵、左に吉岡。なんだこの三人。普通に考えて理恵が真ん中にいるべきだろうに。まあ、理恵が真ん中にいなくても、吉岡と並ぶべきだろうに。
 二人はわたしが言ったことに今気づいたかのように、あ、と声を漏らした。もっと早く気づくべきでしょ。

「理恵、真ん中来たら」
「え、いいよ。もうこの並び方になっちゃってるし」
「じゃあ吉岡、真ん中来たら」
「俺はべつに……」
「なに遠慮してるのよ」

 二人して真ん中を譲り合っちゃって。二人らしいというか何というか。じれったいというか、そのじれったさが甘すぎるというか。

「そうだ。夏休みどっかいこうよ、みんなで」

 話題を変えたいのか、理恵は話を切り出した。

「みんなで?」
「そ、みんなで」
「理恵と吉岡で行ったらいいじゃない」
「……」

 なぜそこで黙るの。
 理恵と吉岡と一緒にいると、何か口出ししたい衝動に駆られる。今だって理恵と吉岡を並ばせて手を強引に繋がせたい。
 でもきっと、まだまだ恥ずかしいんだろうと思う。お互いに。仲がいいのは確かだけれど、いつまで経っても初々しい。最近はそれがかわいくも思える。

「なんか、かわいいね」
「誰が?」
「理恵と吉岡」
「俺も!? 三浦がかわいいのは当たりま、え、だけど……」

 うっわあ、何か言っちゃってるよ吉岡のやつ。そう思った。理恵は目をぱちくりさせているし、吉岡は吉岡で自分で言って自分で恥ずかしくなったらしい。ナチュラルに惚気ている。やだもう何なのこのカップル。
 この二人はあれだな。ラブラブされたら周りが困っちゃうタイプだな。だってこの二人が、ずっと手を繋いでいたり、好きだ好きだと言い合ったりしていたら、立ちくらみがすると思うんだ。うん。きっとそう。

「やっぱ、かわいいんじゃない」

 そう呟けば二人は同時に顔を赤くした。こっちが赤面したいくらいなんですけど。





 ――二人の青春恋物語を、いつまでも見守っていければいいな、なんて。



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色水の梨野ももさんより誕生日祝いにいただきましたー!ありがとうございました!




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