おまえが考えているすべてのこと | ナノ




おまえが考えているすべてのこと



「おい、恋!どうせここにいるんだろ」
「…ちょっと、蘭ちゃん!そんな大声で名前呼ばないでよっ」
「いまさらだろ」
「まだ公にはしてないんだから!…入って」


恋の部屋は同じマンションの別の棟にあるのは知ってる。
でも、こいつはもう聖川と一緒に暮らしてるも同然。


「で、何の用?」
「とりあえず、聖川。茶」
「…真斗はいないよ」


玄関からは見えなかったけど、絶対いるだろうと思った人物がいない。
同じ番組の収録をして、そこで今日の仕事はこれで終わり、というのを聞いた
直帰すると言っていたし、なんでいなんだ


「なんでいないんだよ」
「そんなのこっちが聞きたいわよ」
「しょうがねぇ。で、これこれ。誠一郎から渡された」


詳しいことはわからないが、同じマンションに住んでるせいか
渡しておいてくれと言われた、多分書類。


「おまえらの婚約関係のことじゃねぇかと」
「…ふーん」
「書いとけってさ」
「こんなの、書けない」
「はぁ?」


おまえらあんなに真剣に付き合ってるじゃん
特に聖川の真面目な性格のせいか婚前に云々とか
見てるこっちがじれったくなるくらいに


「真斗、浮気してるかもしれないもん」
「聖川が浮気?そんな器用なことできる人間じゃないだろ」
「だって見たもん」
「聖川だっておまえ以外の女といることだってあるだろ」
「だって…」


めんどくせ
普段あんな堂々としてるくせに、それが外面ってのも知ってるけど
自分のこととなると途端に弱気になる


「ちょっと待ってろ」


こんどこいつらST☆RISHとの仕事もある
いつまでもこんなんじゃ仕事でも困る

あと、あのシスコンも最近はこいつのことで頭がいっぱいだ
そりゃ可愛い可愛い妹の結婚となれば複雑な気持ちなんだろうけど
しかも相手はあの聖川財閥 利益もあれば摩擦もあるだろうし

ホントはこの書類だって自分で持って行くといっていたのに
仕事の進行状況が芳しくないからと、その役目をさせられ

自分はお前のなんだっつうの

そんな気持ちもこめて半ば無理やり約束をとりつけた、2件ほど


「ほら、いくぞ」
「ちょ…どこ行くのよ」
「神宮寺家」
「はぁ?…まだ書類書いてないわよ。というか見てもいない」
「んなもん向こうで書きゃいいだろ」


適当に恋のコートを掴んで、片方の手で恋の腕を掴んで
やっと観念してついてきた恋をバイクの後ろに乗せて、走り出した


本家に来るのは未だ慣れないのか、急におとなしくなった恋を引っ張って家の中へ


「ちょっと…なんで、真斗がいるのよ…」
「恋、おまえこそ…」


神宮寺家の本家。
客間には家主の誠一郎、そして聖川。


「恋、書類は確認してくれたか?おまえたちの…」
「…知らないわよ!」
「恋?」
「誠一郎に文句言っても意味ねぇだろ。2人で話せ」


お前らの考えてることなんて全部わかるわけなんだよ
面と向かって話さなきゃ、伝わるわけがない


「蘭…おまえ、相変わらず手荒だな」
「うっせ、だまれ」


当主サマ、しばらく若いの2人にしてやろうぜ



END

ここまであえて当事者以外の目線にしてみてきました。
難しい。

けい







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