青ざめた表情の裏に | ナノ
2.青ざめた表情の裏に
朝起きてすぐにトキヤの部屋に向かった
トキヤと共に生活を始めたけれど、立場上住所を一緒にすることはまだ難しく、部屋は暫くそのまま
絶対にトキヤの部屋に3人寝られないわけではないんだけど、やっぱり、ね
トキヤが不安そうな顔をしてたのはちょっと心配だったけど
2人とも俺が行ったときにはもう起きてて
恋はうつらうつらしてたけどね
トキヤの作った朝ご飯を食べて3人で家を出た
俺と恋は同じスタジオ
トキヤは今日はオフで買い物に行くみたい
「そろそろ時間?」
「いえ、まだ少し時間がありますね」
「だねー。カフェでも入る?・・・恋?」
さっきまで普通に会話をしていた恋が急に黙り込む
視線はまっすぐに、さっき俺の指さしたカフェに固定されてる
そこには、マサ
だれか、女の人と一緒にいる
「聖川さん・・・ですよね。一緒にいるのは・・・」
「あたし、あの人・・・見たことある・・・」
「マサの友達?」
「ちが・・・。前の、許嫁・・・」
その言葉に俺もトキヤも動けなくなってしまった
俺やトキヤには理解しがたい世界だけど、恋と真斗は財閥という家柄。
俺たちが思うほど、きっと許嫁とか、家同士のつながりとか、契約とか、しがらみがあるんだと思う。
「でも、あなたと聖川さんは・・・」
「うん・・・一応、もう家同士は話ついてる。でもあの子の家、たぶん必死。あんまり財政良くないし、実質聖川との強いコネクトがなくなったわけだし・・・」
普段の恋だったらここまで動揺しないと思う。
でも、最近、マサが家に帰ってこないとか、そういうのでかなり不安定になってる
「恋、スタジオにいきましょう。少し早いですが楽屋には入れると思いますし、そこで少し休みましょう」
マサのことを見つめ続ける恋の顔は真っ青だ
朝も食欲がないと言っていたし、昨日の様子だとここ数日あまり健全な生活をしてないんじゃないかと思う
トキヤに半ば無理矢理つれられて、撮影を行う予定のスタジオに向かう
「音也はもう仕事でしょう?恋には私がついてますから」
「うん・・・、恋、じゃあ俺行くね」
小さくうなずく恋を楽屋に残し、自分の仕事に向かう
マサ、いったい何をしてるの
恋はもう抱えきれないくらいの不安を感じているのに
END
恋ぜんぜん喋ってない
けい