あまがみされたい | ナノ



あまがみされたい


俺は恋の全てに魅了されている

甘い蜂蜜のようなオレンジの髪
海のような蒼い瞳
引き締まったスタイル
スッと長く細い指

そして
俺を誘い続ける唇

撮影のために真っ赤に塗られた赤
寝るときに全てを落とした桃色

グロスに彩られることがなくとも
煌めくそれは、まるで凶器



恋の休日の朝は遅い
お互いに翌日がオフと言うこともあり、久々に体を重ねたこともあるのだろう
隣にいる恋の眠りは深いようだ

普段なら既に起こす時間だが今日はもう少し寝かせておこう

平時に比べては幾分遅い朝食を用意するため、そっとベッドから降りる

刹那、恋の動く気配を感じたが起こしたわけではないようだ

意味をなさない喃語を発し後、穏やかな寝息に変わる

仕事のときのような表情を作らない唇にそっと触れると、やわかな刺激に反応し、僅かに動く

こんなことしている場合ではない
あまり生活リズムを崩すのは避けたい

恋の頭をひとなでし部屋を後にした




簡単に食事の準備をし、再び寝室へ戻ると恋はベッドに座っていた

しかしまだ完全に覚醒したわけではないようで、ぼうっとこちらをみている


「おはよう」
「んぅ…」
「朝食はできている。早く顔を洗って食事をしよう」
「……あさごはん」


これは……
まだ相当寝ぼけているな

少々時間がかかるかも知れぬ、と
恋の横に座ると恋の体が倒れてきた


「ほら、もう起きろ」


寝癖のついた頭を軽く叩くと、その手をいきなり握られた
そしてそのまま自分の手は恋の顔へ


「つめたくてきもちいー…」


先程まで水に触れていた手は寝起きの身体に程よい温度なのだろう

恋は手のひらに額をつけたり、頬に添わせたり、

そして

カプッと、音でもしそうに噛みつかれた

俺にしか見せない、作った色ではない桃色の唇

時折唇を舐め、煌めきが増す

やわらかく歯をたてられ、鈍く伝わる刺激


「恋…!」


この刺激はとんでもない快感に繋がる予感がする

しかし拒否することは容易いことではない
少しして体温が戻ってきたのか、用済とばかりに唇から離された自身の指

名残惜しい……


「…ふぁ、おはよ」
「あ、あぁ…」
「ん?なんかあったの?」


何事もなかったように、寝起きのとろんとした目がこちらを見ている。


「恋…」
「なに?ごはんじゃないの?」
「あぁ…そうなんだが。…恋」
「ん?…ちょ、いきなりっ」


リビングに向かう恋の腕を掴んで、深く口づける。
僅かにひらいた唇に、自分の舌を侵入させる。

粘膜と粘膜がふれあい、小さな音を発する。
突然のことに、上手く呼吸のできない恋が苦しそうにするのを感じ、唇を離す。


「…はぁ、いきなり、なによ」


恋の唇は、どちらのものかわからない液体で婀娜めく

愛おしい、奪いたい、

あまがみされたい

お前のその唇に、俺の、全てを包まれたい



END

ラスエスのレイルートをプレイしてたら
「あまがみされたい」という台詞が合ってときめいた結果。

20120806 けい





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