その理由を見つけて | ナノ




その理由を見つけて




体調の悪い恋を家に連れて帰り、とりあえずソファに座らせる。
恋の好きな紅茶を淹れ、自分も隣に座る。


「大丈夫か?」
「ん…」


珍しく大人しい恋の様子に心配になる。
確かに気候によって体調を崩すことはあるが、こんなに酷い様子は初めてだ。


「そんなに悪いのか」
「ん…昨日の実家の仕事で結構疲れてたし…」
「そうか」


自分の肩にある恋の頭を撫ぜると甘えてくる。
そのまま額に手をおく。


「熱はないようだな」
「んー…」
「夕飯を用意するから、おまえは風呂に入ってこい。今日は早めに休むぞ」


だるそうにソファから立ち上がる様子に心配は拭いきれない。
とにかく早めに休ませ、明日になっても良くならないようなら仕事の前に病院に連れて行こう。夕食を済ませ、恋に薬を飲ませる。
家に帰ってきて気が緩んできたのか少し顔色もよくなったようで安心した。

自分も入浴を済ませ、寝室に入ると既に恋は横になっていた。


「明日はST☆RISHの仕事だけか?」
「うん」
「では、少しはゆっくりできるな」


ベッドに入った俺にすり寄るように近づいてくる。
その小さな身体をしっかり抱きしめ、自分の胸にある恋の頭を撫ぜる。

心地よい場所を探しているのか、俺の腕の中で恋はもぞもぞと動き、
しばらくすると落ち着いた。

その様子が、猫のようで小さく笑ってしまう。


「なによ」
「いや、可愛いな、と思ってな」
「っ…」


俺の胸のあたりにいるため、必然的に上目遣いになる。そんなふうに睨まれても可愛いだけである。

真っ赤になった顔を隠すように俺に顔を押し付られる。


「いいから、今日はもう寝ろ」
「…あんた、明日仕事は?」
「おまえと同じ。だから朝までちゃんとついててやる」


それを聞くと安心したように、目を閉じた。


母親が子供を寝かしつけるように、
リズムを取りながら優しく恋の背中をたたきながら自分も目を閉じた。


この様子ならば明日には回復するだろう。
こんな恋はめったに見れるものではないけれど、やはり恋人には元気でいてほしい。


おやすみ、愛しい人。



END


雨の理由の続き。短いけど。
恋を甘やかす真斗。ありきたりですが。


20120707



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