my friends
「お妙、大丈夫?」
「しんどいなら無理せんほうがええよ…」
「おりょう、花子ちゃんも…ありがとう」
キャバクラすまいるの裏方ソファーにぐったり座り、咳するお妙は体調を心配してくれる二人に小さく頭を下げる
朝からだるかったがまさか仕事に影響が出てしまうとは…運が悪い
はあっと溜め息を漏らして額に手を当てれば自分が熱を出していることが良く分かる
店内で目眩をおこしてから気づくとはどれだけ自分は鈍いんだ、と責めているとヒヤッと冷たいものが頬を掠める
ハッと目を見張ればおりょうが氷を入れた袋を持っていた
「冷えピタとか無くてさ…店の氷貰ってきたよ。これ、頭に乗せて寝てなさい」
「え…でも仕事…」
「馬ッ鹿!エロジジイとかのご機嫌より自分のが大事でしょ?」
おりょうはそう言うとピンっと私の額を弾いた
もー、と呆れながらも笑うおりょうにつられて自分も笑う
ドタバタと足音が聞こえ、音の在処に目を向けるといたのは毛布を抱えた花子ちゃんだった
「あんたどっから毛布を…!?」
「店長が渡してくれたんよ。ほら、熱を出してるときは温まるのが一番や」
「え、わっ…」
近くに来たかと思えばぐるぐると毛布を巻かれる始末…
苦笑いしながらも「ありがとう」と言うと花子ちゃんは照れ笑いをした
良く見れば机には飲み物も置いてある
小さな気遣いがじんわり心温まる
「二人とも…」
「ん?」
「何や?」
声かければ近くにいる二人
仕事より優先してくれてることが何より嬉しくて…
「ありがとう」
自然と顔が綻んだ
二人はすこしポカンとしたかと思えばにっと笑い出す
「何よ、かしこまって!私たち友達じゃない」
「寧ろ頼ってくれた方が嬉しいんやから」
二人のその言葉に少しだけ、ほんの少し嬉しくて顔を体に巻かれた毛布の中に埋めた
───30分後
「あらー…お妙、寝ちゃった?」
「寝ちゃった…ね、これは。起こした方がいい?」
「や、いい。そのまま背負ってく。」
「流石、旦那!」
「つか、何で俺を呼ぶわけ?新八呼べよ」
面倒くさそうにお妙を担ぐ銀時におりょうはニヤニヤ顔をする
銀時が怪訝そうにそれを見ると「ごめんごめん」とおりょうは謝る気の無い顔付きで銀時の肩をぽんと叩いた
「新八くんだと大変でしょ?…でも、旦那がそこまで面倒ってんなら真選組…あの、黒髪のイケメンにでも頼めばいいかしら」
「馬鹿野郎、コイツを運ぶのは俺の仕事だ」
「即答!」
「うるせー!」
my friends
すべてが温かく優しいのだ
・(銀→)妙+おりょう+花子
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