どうしても負けたくない
「たま様、お荷物お持ちします」
「ありがとうございます、白血球王」
学校内の我がクラスの一際目立つ主従関係が今日も仲睦まじくしていた
白血球王と呼ばれる彼は他クラスの「坂田銀時」のドッペルゲンガーとよく騒がれている
しかし彼は「坂田銀時」と違い生真面目で軽い潔癖性、そして忠誠心がある者だった
その忠誠は「たま」という、人間離れした美人にそそがれていた
普通は白血球「王」と付いている彼の方が上の立場と思われがちだがどうやら彼らはそれが反転しているようだ
「オイ貴様、さっきから人をジロジロ見て何のようだ。殺菌してほしいのか」
「!い、いえ、違います!!」
「やめなさい、白血球王。山崎様、どうかなさいました?」
白血球王とたまを眺めすぎてか、白血球王にギロリと睨まれる山崎
白血球王の睨んだ目が恐ろしく、山崎が少し顔を青くして固まっていたのを見て、たまが止めたのだ
「山崎、様?」
「あああ、すいません、何でもないです!!」
本当をいえば用がなかったわけではないのだ
正直にいうと彼、山崎退は少なからずたまに好意を寄せている
できればたま一人になった時を狙って一緒に登下校しませんか、とかお茶とか行きませんか、などと誘おうと思っていたのだ(いざ彼女と話すと緊張して話せないのがオチなのだが)
「たま様、そのような者に優しくしなくても…」
「その口の利き方は止めなさい」
たまにそう叱りを受けた白血球王は「うぐっ」と黙り込む
一方の山崎はまだ少し固まっていたがグッと決心したかのように口を開いた
「た、たたた、たま、さんっ!」
吃りつつもたまに声をかける山崎
たまも白血球王もいきなりの声に少々驚いた様子だがたまが「なんでしょう」と聞き返す
「き、今日!良かったらお茶でも…!良い喫茶店知ってるんです!!」
「「!」」
またも二人とも驚きを隠せずいたが、たまはニコッと笑みを返す
「よろしいのですか?でしたら是非」
「!も、もちろんです!!」
「なっ、たま様!?そ、そんなダメです!!」
「なぜですか?」
焦りだした白血球王に首をかしげるたま
白血球王は「あー、うー」と唸り少し顔を赤面する
そして最終的に山崎を睨むのだ
「た、たま様をたぶらかすつもりか!」
「え、ええ!?いや、別にそういう訳、じゃ…」
「たま様は私が守る!!よってたま様が喫茶店に行くのであれば私も着いていく!!」
「なっ、」
白血球王が着いていくと発言し出し、山崎の上がっていたテンションは下がりだす
だって、冗談じゃない
ようやく誘えたんだ
そしてOKも貰えたのに邪魔されて堪るか
闘争心を燃やした山崎は「駄目です!!」と白血球王に言葉を返す
「何?」
「たまさんだけを誘ったんです。あなたは着いてこないでください!」
「なっ…貴様、私に指図するのか!?」
「止めなさい!!」
白血球王が山崎に睨み、迫りだした辺りでたまが二人を止める
「山崎様、白血球王を連れてもよろしいですか?」
まさかの発言だった
誘った意味が無くなってしまったではないか、冗談じゃない
「…分かりました。」
好きな人に言われてしまえば、承諾するしかないじゃないか
畜生と心の中で愚痴をこぼす
一方の白血球王は、ふん、とドヤ顔で山崎を見ていた
しかしそんな白血球王もたまの言葉でテンションを下げ、固まる
「白血球王は私たちの半径1メートルより向こう側にいてくださいね。失礼なことされては困りますから」
「!」
では私は先生に呼ばれているので、とたまは二人の前から消え去る
残った二人はキッとにらみ合いを始める
「貴様…よくも…」
「そっちこそ…邪魔なんてしてきて…」
「当たり前だ。たま様を渡しはしない!」
「!」
「たま様は私のものだ」
「…俺だって絶対渡しませんから!!」
どうしても負けたくない
燃え上がる、男の戦い
・白→たま←山 学パロ
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