ドキドキ、温泉の旅
「フハハハハ!遂にこの時が来た!!」
「温泉旅行!となればやはり!!」
「露天!混浴!ポロリ!」
うおお!!と男性群、銀時、桂、坂本の雄叫びが上がる
この温泉旅行は坂本辰馬、彼の取引先から貰ったチケットによって始まったのだ
何とチケットにより、お高い温泉先の宿はタダで何とも嬉しい話だ
そして人数は最高6人
そこで今回、銀時、桂、坂本、月詠、幾松、陸奥の6人で訪れたのだ
男三人はそりゃもう愛しの彼女の妄想で頭は一杯だという…
「ふー、やっと着いたね。旅行なんて久しぶりだわ!桂ァ、あんたやるじゃない。こんな高そうなとこに温泉旅行なんて」
「幾松殿には日頃感謝しているからな。」
「頭、鼻血…。どうせ気色悪いことば考えてたんじゃ…」
「ちがうきに!わしゃ陸奥と一緒に温泉に入りあわよくば」
「黙れ、ふぐり去勢されたいがか?」
「ぎ、銀時!」
「あん?どうした月詠」
「わ、わっちは場違いじゃないか?」
「え?何で?」
「何でって…」
わっちは旅行はおろか、温泉も…それに彼女達とも話したこと無いし…
語尾が徐々に小さくなっていくにつれ、下を向く月詠
なんだ、そんなこと気にしてたのか
銀時は下を向く月詠の頭をぽん、と撫でてやる
月詠は多少驚きの表情をして銀時を見る
「安心しろ、陸奥と幾松も初めて会う奴等だ。どっちもいい奴だからきっと仲良くなれるよ」
「!…ありがとな、銀時」
そう言って月詠は照れ臭くなったのかどうにか彼女たちと仲良くなろうとその輪に入っていった
一方の銀時は片方の手で顔を覆っていた
その様子に気づいた桂は「どうした?」と銀時を訊ねる
「や、不意打ちは卑怯だろ…」
「は?」
「あの笑顔はヤバイわ…」
「銀時?」
「あー…くそっ…」
「??」
「よし、じゃあやっぱ温泉行くか!」
旅館につき、一息ついてからの幾松の一声で男三人は「いいね!」と盛り上がる
「で、混浴はあんのか?」
「もちろんじゃき」
「ただ、彼女らが簡単に混浴に入るか…」
「そこは金の力で、な。
男湯、女湯は休止。混浴のみにしてもらったから安心するきに。」
「流石だ!辰馬!!」
「ん?頭たち、どうかし―」
「さあ!行くきに!!」
鋭い陸奥に見つかり、坂本は慌てて陸奥の背中を押して温泉のほうへ向かう
「あ、待ってよ陸奥!」
「ちょ、幾松殿!?」
幾松は陸奥を桂は幾松を追いかける
一方の月詠はといえばまだなかなか溶け込めないようだ
「月詠」
「え、あ…ごめん…わっちはなかなか溶け込めないというか…」
「ほれ、上向け!」
「わ!?ちょっ…」
銀時の両手が月詠の頬にあてられ、くい、とあげられる
「な、なにを!?」
「お前下向き過ぎ。顔上げて、あとは何か声かけてみろ。大丈夫。…陸奥はちょいハードル高そうだからな…幾松辺りに声かけてみろ。」
幾松は接しやすいから、と後付けする銀時
月詠は少し目を泳がせていたがこくんと頷いた
銀時はそれを見てまた頭を撫でてやる
そして「じゃ、いくか」と月詠の腕をひいた
少し急ぎ足で坂本たちのほうへ行けば何やら揉めているようだ
「どうした?」
その問いは誰に聞かれることなく消えた
何故?
理由が分かってしまったのだから
よく見れば坂本はこてんぱんにやられ、桂は頭を下げている
何だろう、嫌な予感がよぎる
銀時が固まっていると幾松が銀時と月詠を捉えた
幾松はにっこりした表情だが怒りを隠しきれてはいない
逃げたい
マッハで逃げたい
けれど足は幾松たちの方を歩いていた
「銀さん、どういうことかなあ?」
「あ、いや…何がでしょう──嘘です!!いや、混浴のみにしたのは辰馬です!!」
「ふうん…?」
「あ、でも自分も悪乗りしました!!ごめんなさいっ」
マジ切れ幾松に怯え土下座する銀時
幾松は黒いオーラを駄々漏れにしていて怒りMAX状態だ
殺される、ガクガクしながら土下座を続けていると幾松は銀時に向けてはあ、とため息をついて「もういいよ」と顔を上げるよう指示する
「幾松、バカのした事ば取り消しにさせたきに。これで安心じゃき」
「助かるわ陸奥!じゃ、男三人、お前らは反省をしなさい」
「「「はい…」」」
「…あ、あの!幾松、さん」
お叱りが終わったところで月詠の声が響く
幾松は振り返り「?」と首を傾ける
「あ、その…」
声をかけたはいいが何を話せばいいのやら
すると幾松はどもっている月詠をクス、と笑う
「もう、他人行儀ね。呼び捨てでいいよ、月詠」
「!」
「女湯、行きましょ?」
「あ、ああ!」
月詠は幾松に引っ張られ、嬉しそうな笑みを浮かべていた
そして風呂から出てきたときの彼女ら三人はとても仲良くなっていて、ぎゃくに彼氏が入れる立場がなかったという
ドキドキ、温泉の旅
あれ、俺たちの野望は?
・銀月、桂幾松、坂陸奥で温泉旅行。で、男三人はウハウハしてたのに彼女ら三人は意気投合して…
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