忍者の恋愛事情
外には満月が輝いている
そんな夜、お決まりのように忍者にはお仕事だ
「お前ってさ…」
「?何よ?」
「あのジャンプ侍が好きか?」
「ジャンプ侍?…ああ、銀さん?」
彼女の口からそいつの名前が優しく囁かれ、心の中の黒いものが疼く
「ああ、そいつ。…そんなに好きか?相手にされてねえのに」
「…別に、それはプレイだもの!私のためにしてくれてるのよ!」
彼女はいつもの調子で笑ったり恍惚な表情を浮かべて淡々と話す
でも、まるで自分に言い聞かせているような口ぶりだ
「猿飛…無理すんな」
「無理…?無理なんてしてな…」
彼女の言葉は止まった
俺は彼女の頭を撫でてやる
「…抱き締めるのはアイツの役目だろうからな…」
ムカつくが俺が抱き締めたところでこいつはいい気をしないだろう
「…何よ、全蔵の癖に生意気だわ…」
猿飛はそう言うと少しだけ体を俺に預けて大人しくなった
少しだけ肩を震わせて
「…あなたはもっと強引になるべきよ…」
彼女の小さな一言は闇に呑まれた
忍者の恋愛事情
仕事に支障が出ないよう
はやく諦めをつけなくては
果たしてどちらの思いなのか───
・全→(←)さち→銀
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