温度上昇
「ど、どうぞ」
「ありがとう、九兵衛さん」
今日は新八くんが遊びに来ている
僕が自らの部屋に招き入れた初めての客だ
机にお茶とお茶菓子を並べ、新八くんの前方に座る
「えと、その…美味い、か?」
話題がなくて、おずおずとお茶菓子が美味しいのか聞けば、「美味しいよ」と返されて即終了
あああ…こんなこと初めてだから何を話したらいいのか皆目見当がつかない!!
しかも、二人きり…
あああ…緊張してきた
女として、彼女として、新八くんにどう接したらいいのだろうか
黙り込んでしまった僕を見て、新八くんはお茶を置く
「…最近姉上がね、」
新八くんの出した話題に自分の目線が上がったのがわかる
話題がお妙ちゃんのことになったおかげで、一気に話しやすくなる
「やっぱりお妙ちゃんの料理は並みではないな」
「うん、あれは並大抵の人じゃ無理だよ」
「なんといっても笑顔も好きだ」
「姉上の笑い方は大人っぽいときや、子供っぽいときがあるよね」
「そうそう。僕は子供っぽい笑顔のが好きだな」
「僕もだよ。無邪気って感じでさ―…」
思いの外、お妙ちゃんの話題は盛り上がる
「ねえ新八くんは他にどんなとこが好きなんだ?」
新八くんは「そうだなあ」と考えて考え付いたのか前のめりになった
…近い近い!
どくどくと心臓が脈打つ
赤面になっているのはなんとなく分かった
「ちょっ、新八くんっ!?近いよ」
それを知ってか知らずか、新八くんはにこっと微笑んだ
「照れ屋なとこ、好きだな」
温度上昇
た、妙ちゃんの話をしてるんだぞ!?
うん、姉上の照れる顔が、だけど?
!…そ、そうか…
(勘違いしてしまった…恥ずかしい…)
…嘘だよ
(九兵衛さんのことに決まってるじゃん)
・九ちゃんと新八が妙バナでラブラブしてるといい
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