理不尽だ!
「おんしはいつもそれじゃき!いい加減にせい!!仕事が溜まっとるきに!」
「たまには遊んだっていいじゃろ!」
「たまに!?いつもの間違いじゃき!」
ぎゃーぎゃー喚くのは坂本と陸奥
せっかくキャバクラに来たってのに
なんだこれ
「おい、お前らここは店だぞ」
キャバクラすまいるの店内で喧嘩をする二人
酌をしていたおりょうは被害を避けて別の席に移動
後ろからはにこにこと黒い笑みで笑っているお妙の殺気
「なあ、マジでここで喧嘩は…」
「黙れ。死んだ魚の目、しやがって。殺すぞ、マジで」
「陸奥さああぁん!?なんか標準語恐いんだけど!!冷たい目で睨まないで!」
いつも無表情で近寄りがたいってのに
怒った陸奥はそれ以上だ
「お前の部下、酷いんだけど…ねえ、お願いだからせめて店出ようぜ」
「黙れ天パ!!宇宙に投げるぞ!」
「お前も天パだろーが!!馬鹿本!!そしてお前も標準語じゃねーか!!」
てか何で喧嘩を止めようとしてる俺がこんな言われよう!?
ちらりと殺気のする方を見ると「はよ片付けろ」と言わんばかりの笑顔を見せられる
「銀さん、本当に早く止めるか店の外に連れ出してくれるかしないと…」
「し、しないと…」
「コンクリートに沈みますか?」
「テメーら!マジで喧嘩止めろや!」
俺の命が危ないんだよ!!
けれど二人に声は届いていないようで
「だいたい頭はいつも部下に仕事を任せて!こっちのことも考えるきに!」
「わしだってしとるわああ!!陸奥だって部下に任せきりじゃろ!」
「頭ほどではないわ!大体他の女と遊んでて怒らん奴がおるがか!?」
「陸奥だって男と遊んでたじゃろ!」
「あれは友達じゃき!」
「部下に告られてるのも見たきに!」
「断ったの知ってるじゃろ!」
「知っとるき。その後絞めたわあぁ!!」
「絞めんなアホー!!」
…何この会話
ああ、付き合ってたっけ
痴話喧嘩かよ!!
「あーもう…痴話喧嘩ならよそでやれ」
「「痴話喧嘩じゃない!!」」
なんとまあ同時に
てか聞こえてたんだね
またしばらく喧嘩し出すもんだから止めてみるが
殴られ
蹴られ
罵られ
半泣き状態に陥っていると携帯の着信音
「ん?…ああ、分かった。…取引の時間がもうすぐじゃき。行くぞ頭」
「分かったきに」
二人は喧嘩をやめて
店を出た
そしてキャバクラには呆気なく平穏が戻った
「…。何だあいつらは…」
もうアイツと一緒にキャバクラに来るの止めようかな
理不尽だ
じゃ、俺も帰るわ
するとがしりとお妙に肩を掴まれる
お代、払えやコラ
…嘘だろ
(払えやあいつ等アアァ!!)
・「スマイル」で喧嘩になってしまった坂本と陸奥を仲裁する銀さん
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