どうにかしないと!
「いらっしゃい!…って銀さんじゃないか」
「おう。久しぶり」
久々に給料が入り、北斗心軒に来た
銀時とここの店主の幾松とは友人のように親しい
「醤油…いや、とんこつラーメン一杯」
幾松は返事をして料理に取りかかる
がらりと空いた店のどこに座ろうか考えた結果、長髪の見たことがある奴がカウンターに座っていたので声をかけるついでに座る
「…ズラじゃね?」
おずおず言うと決まり文句「ズラじゃない桂だ」と返事される
「銀時じゃないか。久しいな」
「ああ…。ところでお前って蕎麦好きじゃなかった?」
ここ、ラーメン屋だぜ、と言うと「何を言う」と返された
「ちゃんと蕎麦もあるだろうが」
「…あ、いや、うん。あるけど…」
大分前に来たとき、メニューに蕎麦が付け加えられていたのは覚えがある
でも普通、ラーメン屋で蕎麦食うか?
そもそもラーメン屋に蕎麦があっていいのか?
数々の疑問を浮かべながらラーメンを待っているとゴトッとラーメンを置かれる
「幾松殿…俺の蕎麦はまだか?」
「…あ!忘れてた」
「!!銀時より遥かに先に来ていたと言うのに…」
「何時頃に来てたんだよ」
なんとなく聞いてみれば「11時」とのこと
…今、13時ちょい過ぎなんだけど
今までよくまあここに居座れたなぁ、と思いながらラーメンを啜る
「じゃ、作るか…」
「あ、待ってくれ幾松殿」
「?」
桂は幾松の髪に手を伸ばす
「何か付いておったぞ」
「あ、ありがとう」
「ところで来週なんだが、やっぱり食事はやめて映画でも見ないか?」
「そうねえ…どんな?」
すると桂は懐からチケットを出す
「幾松殿が見たいと言ってたやつだ」
「!い、行くッ!」
「じゃあ予定を空けておいてくれよ」
「それはこっちの台詞よ。毎回ドタキャンするのはあんたでしょ?」
幾松はぐいーっと桂の頬を引っ張る
「ふははい(すまない)…ッふー…いや、でも仕方ないんだ。仕事が…」
頬をさすりながら幾松に言い訳をする
「…分かってるわよ。でも、映画は絶対だからね!?」
ビシィっと人差し指をつきだして決める幾松
桂は少し笑って「絶対ドタキャンしない」と言った
「…あのー…お二人さん、俺の存在を消さないでくんない?」
突如口を挟んできた銀時に桂、幾松の二人はハッとして銀時を見る
対する銀時は「やっぱ今、俺消えてたじゃん!」と二人に抗議する
「ていうか何?君らそういう関係?」
仲良すぎじゃん、と冷やかし半分…冗談半分で聞いてみると、二人して銀時を見る
「?そういう…ああ、付き合っているが?」
所謂恋人通しだよな、と桂は幾松に微笑みかける
幾松は固まったかと思えばかああ…と顔を赤らめる
「ばっバカ!!そんなサラリと…!!」
「?本当のことだろう」
表情を変えず平然とする桂に対し、幾松は赤くなって怒ったり照れたり焦ったりと、コロコロと表情を変える
「なんつーか…うん、お似合いだよ」
銀時は、ようやく食べ終わったラーメン皿の上に箸を置いてぶっきらぼうに答える
「なっ…銀さんっ!!」
「やったな、お似合いだそうだぞ」
「あんたは黙りなさいっ!!」
桂を殴ろうとした幾松の手は見事に掴まれ、動かなくなる
「照れ屋だなあ、幾松殿は」
「黙れバカッ!」
あっはっは、と笑う桂に顔を赤くして照れている幾松
また除け者になった銀時はお代を置いて席をたつ
二人ともその存在には気づかないくらい、二人の世界に入ってしまったようで
銀時は店から出て溜め息
どうにかしないと!
あの二人、無自覚でラブってるよ!
ていうか俺が影になってたし!!
・桂幾+銀で、北斗心軒に銀さんが食べに行ったら桂がいて。妙に二人が仲良くて「君らそういう関係?」って聞くと、桂は普通に答えるけど幾松が突発すぎて照れる
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