二人だけの時間
がらんとした屋上は居心地が良い
一人で煙草を吹かしていると誰かの気配がした
「誰だ?今は授業中…って月詠か」
「授業中と分かった上で屋上にいるのか。…教師としてどうなんじゃ」
腕を組んで月詠は隣まで来る
「小言なら聞かねーよ」
「…ま、お互いこの時間は授業が無いからよしとするか」
月詠は、ふっと笑って自分も煙草を出した
「…寒くねーの?」
春、とはいえまだ風は強い
そんな中、タイトミニのスカートで、タイツは履いているが足を出してはいるし
「まあ、ちと寒いがな」
「だったら屋上に来なくてもいいだろ?」
月詠はふう、と煙草の煙を吐き出して俺を見る
「…主がここにいるのが分かったから」
そこまで言うと月詠はうつむいて赤みがかった顔を隠した
「…やっぱ、可愛いよな」
「はっ!?」
「何赤くなってんの?お前に言ってないけど?」
にやにや笑うと月詠は恥ずかしさもあったのか、俺を一発殴る
「いってー!ってめ、こんなことしたらあれだぞ!?…あの、あれ…駄目だぞ!?」
「黙れこの焼け野原!!」
「それは俺の頭のことかアァ!?」
「髪のことじゃ」
「一緒だアァ!!」
「主はホントに分かってない…」
大人しくなった月詠はボソリと一言こぼした
「…怒ってんの?」
「……ってうあ!?なっ何!?」
俺に背を向けている月詠を後ろから抱き締めた
耳元で息を吹けば、ピクリと反応した
「ッホントに…やめっ」
「やっぱり可愛いよ、お前」
「!?じ、冗談!」
「いやいや、マジだよ?」
「う、嬉しくない!!」
怒りまじた声色で言うが、月詠の顔を覗けば真っ赤だった
「照れてる〜」
「だっ黙れ!」
「か〜わ〜い〜い〜」
「うるさい!黙れ!!」
口は喧嘩腰だったが、抱き締める力を少し強めると、月詠の体重が少しだけかかった
「…あったかい…」
「そりゃ良かった」
二人だけの時間
そのあとも
しばらくは抱き締めていた
知ってるのは屋上と空だけ
・銀月で3Z教師同士
×