では、さようなら
「姐さん!」
「あら、沖田さん。奇遇ね」
屯所を少し歩いた道端で姐さんと会う
買い物帰りなのだろう
両手に袋を持っている
「持ちますぜィ?」
「あら…ありがとうございます」
姐さんは、にこにこ笑いながら片方の袋を差し出した
「今日は肉じゃがですかィ?」
「ええ。沖田さんは肉じゃが好き?」
「好きですぜ。楽しみでさァ」
「喜んでもらえて何よりよ」
なんとまあスムーズに志村家で夜ご飯をよばれることができた
いや、まあそういう関係だし、普通のことか
「今日はたくさんお芋を貰ったのよね」
「さすが姐さん。強奪したんですかィ」
「私がいつ強奪なんて言ったかしら?」
空いてる右手が振りかざされ、瞬時に避ける
避ける
避け…今のは危なかった
そして最終的に姐さんの手を掴む
「っ殴らせなさい!!」
「嫌でィ。…ん?」
「え?…あら、銀さんじゃない。神楽ちゃんも」
姐さんは何食わぬ顔で「買い物ですか?」と訪ねている
訪ねられている旦那とチャイナは固まったまま
「…お、お前らって、何?そういう関係?」
旦那がようやく声を出した
そういう関係…
……ああ
「付き合ってますぜィ」
「「!」」
あまりに衝撃的だったのか、旦那とチャイナは固まったまま微動だにしない
「うっ嘘アル!!…でしょ、姉御ぉ…」
旦那が姐さんのことを好きだったことは知ってたから別に固まっているのはいいが…
なぜだか知らないがチャイナも固まり、半泣き状態だ
??
姐さんをとられたからか?
「神楽ちゃん…嘘じゃないわよ、先週告白されて、ね」
「へ、へえ?沖田くん、よくまあこんなゴリラ女を好きになったよね!?」
旦那が怒ったような焦ったような口ぶりで話してくる
「何言ってんですかィ旦那。姐さんは普通にかわいくて美人な部類ですぜィ」
鼻高々に言えば旦那はムスッと睨んでくる
「なっ…姉御を調教したアルかアアァ!!!?」
「されてないわよ、神楽ちゃん」
どうやらやっぱり姐さんの心配らしい
「そ、そもそも!お前、姉御と付き合ってていいアルか!?」
「そーだそーだ!!ゴリラの嫁だろ!?」
お、旦那が復活した
旦那とチャイナはぎゃーぎゃーと喚き散らす
「それは大丈夫ですぜィ。バレないように付き合ってやすから」
それを聞いた二人はニタリと笑う
若干、半泣きで
「じゃあ俺らが言うから」
「あばヨ」
「「待てぃ!!」」
姐さんはチャイナを、俺は旦那を捕まえる
姐さんはチャイナに説得をしていた
じゃあ俺も…
「言ったら旦那に嫌がらせしやす。例えば動物の死骸を旦那の寝てる布団に入れたり…蚊の天人を万事屋に…」
「それ説得じゃねーし!!脅迫じゃねーか!!」
旦那は真っ青になってわめいていた
旦那があまりにも可哀想だったから心を読んだのは勘弁してやろう
姐さんのほうも説得が終わったのか、チャイナが半泣きだ
「チャイナ?」
「…ッお前なんか…沖田なんか…バカヤロー!!」
「ぐえっ!!!?」
何故か鳩尾に一発入れられ、チャイナは走り去っていった
なんだ、アイツは
旦那も放心状態だ
「姐さん」
「はい」
「帰りやしょう」
「そうね」
では、さようなら
姐さん、手
え?
手、繋ぎやしょうよ
…はい
・沖妙
神→沖妙←銀
銀、神がヤキモチ
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