そうして私の時間は止まったのだ
『おにーちゃん』
『何だい神楽』
『また…』
どこかに行っちゃうの?
そんなことは口に出来なかった。
分かりきったことを聞いて何になるんだ。
『神楽?』
『また…帰ってくるよね?』
空が真っ暗な中にいちゃんはニコッと笑ったのが辛うじて分かった。
『当たり前だろ』
何度もそういわれて
にいちゃんが帰ってくるのを何ヵ年月を待っていた。
にいちゃんは約束を破りはしなかった。
でも
その時だけは
何故か信じられなくて
何度も確認をしていた
呆れながら応えるにいちゃんは闇に包まれていた。
にいちゃんが行ってしまった後も満月だけが煌々と輝いていた
夜空は真っ暗
銀ちゃんはもう寝ているんだろう
何故か今日だけは目が冴えてしまった
そして、体か勝手に万事屋の窓から空を見る
ゆっくり瞼を閉じると幼い頃の記憶が鮮明に蘇る
「にいちゃんは…嘘つかないヨネ?」
嘘つき呼ばわりなんてしない
きっといつかひょっこり帰ってきて私をぎゅっと抱き締めて頭を撫でて「ただいま」って言ってくれるんだ
だって また 帰ってくるって約束したもん
見上げた夜空には
満月が煌々と輝いていた。
そうして私の時間は止まったのだ
早く帰ってきて
お兄ちゃん
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