君との距離
うがああぁ!という叫びと共に銀時は壁にぶん投げられる
「すっすまない!」
投げた本人、九兵衛は銀時に駆け寄り心配そうに銀時を見る
「大丈夫、大丈夫」
付き合い初めてから最近は暇さえあれば万事屋で九兵衛の男慣れの練習をしている
その度に銀時は投げられ、九兵衛はしんみりする
「…やっぱりやめよう」
九兵衛の一言に銀時は呆れたような怒りも交えたような声で聞き返す
「…どうして?」
「だって!これ以上練習してたら万事屋の怪我が増える一方じゃないか…」
語尾の声色が暗く、小さくなる
「…銀時」
「は?」
「万事屋じゃなくて銀時だって」
いつも言ってンだろ?と責められ九兵衛は「すまん」と返す
…なんだこれ
話が噛み合ってないんじゃないか?
九兵衛は再度銀時に「この練習」を辞めるよう提案しようと口を開ける
「万事―…ぎ、銀と―…」
「辞めないよ?」
「え?」
またも拍子抜け
いきなりさっきの答えが返される
「何言って…」
「心配してくれんのは嬉しいけどよ、俺はお前だからこんな投げられてもいいって思ってんだよ?」
ドクン
九兵衛は自信の心臓が跳ねたのが分かり急に顔を火照らせる
「あ、照れた」
「照れてない!!っそんなことを言うのならもう一度、練習頼めるか?」
「お、やる気出たね」
銀時はやりますか、と言うと九兵衛の腕を引っ張り、自分に引き寄せる
かと思えばなんと言うことか
事故かもしれないが唇と唇が触れ合うのがわかった
銀時はすぐさまバッと九兵衛を引き離す
「―…っ!今のは事故っ」
「なっ…あ、うがあああ!!」
事故だろうが関係ない!!
体温は急上昇
またも叫び声と共に銀時は投げられるのだった―…
君との距離
早く君に触れたいけれど
今はまだこの距離でも良いかもしれない
※休日は万事屋でスキンシップの練習な二人(いつまでたっても初々しい感じで)
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