〜鬼〜
幾つもの戦をくぐり抜け
幾つもの命を無駄にして
幾つもの人々を悲しませた
そんな俺に好きな人ができた
気の強い芯がまっすぐで
汚れを知らない
愛らしい笑顔をもった女
触れば壊れてしまうかもしれない
愛で方なんて知らない
俺は壊したことしかないのだから
「だから諦めるとか…馬鹿じゃねーの?」
そう言って煙草に火を点ける土方
「なんだと?」
「俺には臆病な奴の言い訳にしか聞こえない」
そう言うと俺と正反対に足を動かす土方
「やるだけやりゃあいいだろ、女はそう簡単には壊れねーし」
あと、
「お前はまだ好きな女が生きてんだから…優しくしてやれ」
いつも犬猿の仲で言うことを聞く気なんか無かったのに最後の言葉だけは耳から離れなかった
〜鬼〜
同じ鬼だからわかること
×