よそでやれ!
リア充とは
リアル充実という意味である
リア充とは
今、超モテて、超イケメンで超カッコイイ俺──坂田銀時の前にいる二人である
「すいません本当に…」
「いやいや、ミツバちゃんはいいんだよ」
「馴れ馴れしくミツバちゃんなんて言うな」
「じゃあミツバ」
「なお悪いわ!」
目の前にいる二人
すなわち大和撫子並みの優れた女(味覚以外)―沖田ミツバと泣く子も黙る真選組の鬼副長―土方十四郎
何故この甘味屋でこいつらを前にしているのかだと?
ここの甘味屋は今大繁盛してて、デートで訪れた二人の座る場所がないから心優しい俺が同席を許したわけよ。ミツバちゃんだけ
「俺は許せねえってか!?」
「ああその通りだね、犬の餌マニアと同席なんかしたくないね」
「上等だアアァ!剣を抜けエエ!」
「お店では静かにしなきゃダメよ?あ、すいません、このアイスにタバスコかけたいんでタバスコ持ってきてくれませんか?」
店員は固まっていたが作り笑いで「かしこまりました」とタバスコを取りに行った
しばらくして皆に甘味が届く
俺はチョコレートパフェ
ミツバちゃんはバニラアイス…のタバスコトッピング
土方はコーヒーのみ(マヨネーズ入り)
うーん…
なんだかんだお似合いカップルだな、味覚とか特に!
しばらくパフェを食べていたときふと、前にいる人たちの次の行動を見て固まる
「ミツバ、付いてる」
「え…あ」
土方はミツバちゃんの口元近くに付いたアイスを指で拭い、自分の口へ運ぶ
「辛っ…」
「なっ…と、十四郎さんっ!?」
ミツバちゃんは顔をほんのり赤らめる
「やっぱ可愛いなミツバ。顔、真っ赤」
「十四郎さんのほうがかっこいいわよ…この前、女の子に囲まれてたの知ってるわ」
「そうだっけ?俺、お前しか眼中にねえから覚えてねえや。お前こそ、ナンパされてたんだろ?」
土方はズズッとコーヒーを啜る
「あちっ…」
「ナンパ?何ですかそれ…ああもうっ…舌、火傷したんじゃないの?」
ミツバちゃんはアイスを一掬いして土方の口元に近づける
「アイスで冷やすのもアリじゃないかしら?」
「…どーも」
土方は赤みがかったバニラアイス…いや、タバスコアイスを食べる
「あー辛いし甘いし痛いし…」
「ひどいわ。せっかくあげたんだから文句言わないでよ」
「悪い悪い」
「もうっ…」
土方はミツバちゃんの肩を抱く
「待て待て待てい!!」
流石にこれ以上見るのは気が引ける…と言うかイラつくので急いで止める
「んだよ、急に」
「銀さん、どうかしました?」
「何でキョトンとしてコッチ見んの!?」
「むしろ何で怒鳴ってんの」
「お前ら何、自然にイチャラブこいてんのオオォ!!!!」
二人のやり取りを見っぱなしで手に持っていたスプーンはいつの間にか机の上に落ちてて、パフェは溶けかけている
「イチャラブ?」
「俺らがいつイチャラブしたってんだよ」
「今だよ今アアァ!何言っちゃってんのマジで!!」
これだけ怒鳴っても二人はキョトンとしたまま俺を不思議そうに眺める
あれ?俺がおかしいの?
「だ、だって普通、肩とか抱かなくない…?」
「ダメなんですか?」
「ていうかそれのどこがイチャラブ?普通じゃね?」
二人は顔を見合わせてうんうん、と頷く
「…
すいませんでした…続けてください」
「…?あ、十四郎さん、舌は大丈夫ですか?」
「あー駄目だ、アイスくれ」
「はい、あーん」
「あー…」
「すいません!帰らせていただきます!!」
よそでやれ!
もしもし総一郎くん!?お宅の義兄さんと姉ちゃんがイチャこらしてたんだけど!?
あー…それはもう慣れたんでいいです。後、あんなヤローを義兄なんて俺は認めねーよ。死ね土方
プツッツーツー…
…。
※無意識に天然でイチャイチャ
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