お前が悪い
夜───
真選組屯所は今日は賑やかだ
何せ朝から松平のとっつあんが来て何やら宴会状態だ
その様子を障子を隔てて見る
「はー…明日は二日酔い決定だな」
「なんでですか?」
「とっつあんに誘われて大量に飲むからー…って、ミツバ!?」
「だったら断ればいいじゃない」
「…」
「本当は飲みたいだけでしょ?人のせいにしちゃダメよ」
ぐっ…
正論を言われ反対できないので顔を歪める
「もう…そんな顔をしないでくださいな。ほら、エビマヨ作ってみましたよ」
食べます?と皿を差し出され一つつまむ
「おいしいですか?」
「…美味い」
基本的にミツバの料理のうまさは分かっている
そしてその後のタバスコによって台無しになることも知っている
「本当は隠し味にタバスコを入れようと思っていたんだけど…」
何故か買いだめしていたタバスコが一つも見つからないの、と残念がるミツバ
悪いなミツバ
宴会になると分かった途端に隊士たちが一致団結してタバスコを隠したんだよ
「まあでも、できる限り美味しい味に仕上げたので…そこで中の様子をこっそり見ているなら料理を運ぶ手伝いをしてくれませんか?」
「おおぉ!」
みんながミツバの作った料理を次々と食べていく
時折「彼女にしたい」とかほざいてる奴等がいて制裁を加えようとしたが既にシスコン総悟が制裁を加えていたので安心して酒を飲んでいた
「おぅい、近藤」
「なんだ、とっつあん」
「あの美人が総悟の姉ちゃんか」
「おう、そうだぞ」
「ちょっとそこの総悟の姉ちゃんー」
大声でミツバを呼ぶとっつあんは、どうやらもう半分出来上がっているようだ
なんでしょう、ととっつあんの隣に座るミツバ
「名前なんてーの?」
「ミツバです。沖田総悟の姉です」
ニコリと悩殺スマイルをしてお酌します、とお酒を注ぐ
「いやーいい女だねえ」
そう言ってミツバの腰に手を当てるとっつあん
とっつあんー!!!?
それ、セクハラじゃねーか!
て言うか何で総悟は黙ってんだ、と総悟を見る
酒瓶片手に眠っていた
チッと軽く舌打ちをしてミツバのほうへ向かう
が、既にミツバの両隣には人が座っているので座るところは少し遠くになってしまう
どうやらお酒を誘われているようだ
近藤さんがとっつあんを止めているがなかなか酒が入ったとっつあんはしぶとい
「ほら、一口飲んでみなよ」
「いえ、私は…」
「大丈夫だって。一口飲むだけでいいから」
俺はそんなことを言われて飲んだことがあるが結局酒瓶丸々一本飲んだ記憶があるがな
しかしミツバはとっつあんの言葉を信じたようで「では…一口だけ」とお酒を運んだ
ああ…遅かった…
その後もミツバは飲まされ続けた
5杯ほど飲むとミツバからひっく、としゃっくりの声
するとミツバはいきなり立ち上がった
総悟は寝たままで他の隊士はどうしたのだろうとミツバを見る
ミツバは俺を見つけるとふらふらと歩いてくる
そして隣に座りミツバの白く細い手で顎を固定される
「…」
「…え?」
さすがにこの状況はなんだ、と隊士もとっつあんも近藤さんも、もちろん俺も目が点になる
「…ふふっ、とおしろーさん」
総悟が寝ていてよかった
ミツバはそう言うと顔を近づけ俺と唇がぶつかる
離れたと思えばもう一度
「ちょっ、ミツバ!?」
ガッとミツバの両腕を掴み引き離す
視点が定まってない
酔ってるよ!
「あー…テメーらこの事は他言無用。すべて忘れろ」
そう言ってミツバを引き寄せ立ち上がる
「近藤さん…ミツバ寝かせてくる」
「お、おお」
そしてピシャリと障子を閉める
部屋についてミツバの布団を敷く
するとミツバに後ろから抱き締められる
そしてまたキス
こいつは酔うとキス魔なのか、と思いながらミツバに応えるようにキスを返す
さっきはみんなの手前何もできなかったが今は二人きり
しかも布団の上だ
これはいんじゃね?などと理性が崩れ出す
ミツバのキスに応えて舌を入れる
微かに漏れるミツバの息がエロい
すると徐々にミツバに脱がされていく
正直立場が反転しているがまあミツバが積極的なのも新鮮だ、と脳内転換をして行動を促す
いざ本番!
と一度唇を離すとミツバの目は閉じかかっていきなりミツバがたおれこむ
「…ミツバ?」
「…すー…」
「え、いや冗談きついぜ」
「すー…」
「…。え、ちょっ…マジですか」
なにこのお預け状態
そしてどうする、もう一人の俺…
「…(怒)」
「…ん」
あれ、いつ寝たんだろうと目を覚まして隣を見る
「!?なんで十四郎さんが!?」
昨日何があったっけ?
お酒を飲んで…記憶がない…
うーん…と悩んでみたが分からず取り敢えず寝汗をかいたようなので風呂へ向かう
服を脱いでいると横にあった鏡が見慣れない首のアザを映していた
「え?」
よく見れば首だけじゃない
「なっ何これ!?首に胸…こっここも!?」
て言うかこれ、どうみてもキスマークじゃない!
「十四郎さん!!」
寝ている十四郎さんをたたき起こす
十四郎さんはあくびをして「ああ」とつぶやく
「いいだろ別に、仕返しだ」
「!?何の!?」
すると何故か十四郎さんはムスッとする
「しっかりたっぷり全身につけといた。背中だろ、腹だろ、ピ───だろ、ピ──ピ───…」
「ちょっ…やめてください!言わないで!!」
「つーか、お前が悪い。その気になったのに寝やがって…しかも脱がしてきたくせに」
「何ですかそれは!?」
お前が悪い
てか何で覚えてないんだよ
知りませ…何剥いてるんですか!?
うるせー!
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